研究課題
セイピンノックアウト(SKO)ラットを用いてセイピンの1)脂肪細胞の発生・分化、2)脳の発生、3)精子形成における病態生理的意義を検討した。1)SKOラットでは皮下および内臓の機能的白色脂肪組織、眼窩および骨髄の機械的脂肪組織はいずれも著しく減少していることを確認した。そこでSKOラットより皮膚線維芽細胞を調整し脂肪細胞分化誘導実験を実施し、セイピンはPPARγの発現維持および脂肪分解抑制に重要な役割を有していることが明らかとなった。さらに、FGF-1によりセイピンの欠損によるPPARγの発現低下および脂肪分解亢進が抑制されることを見出した。FGF-1がセイピン遺伝子異常による脂肪萎縮症の治療に有用である可能性が示唆された。2)SKOラットでは脳重量が軽度減少し、空間作業記憶も低下していることを確認した。SKOラットの大脳皮質、海馬、小脳で神経細胞密度を検討したが野生型と比較して変化はなく、脳重量の減少は神経細胞数の減少によるものと考えられた。ヒトのセイピン遺伝子異常症でもMRIにて脳体積を検討したところ脳体積が軽度減少していることが確認された。3)SKOラットの精巣では成熟精子、精子細胞が認められず、精母細胞も著しく減少していることが確認された。精子低形成の原因として精原細胞とセルトリ細胞の異常を考え、精原細胞は正常でセルトリ細胞を欠くsl/slマウスとセルトリ細胞は正常で精原細胞を欠くw/wマウスにおいてセイピンの遺伝子発現を検討したがセイピンは精原細胞とセルトリ細胞のいずれにも発現は認められなかった。そこでラットの個体発生におけるセイピン遺伝子の発現を検討したところ精母細胞が出現してくる生後6週頃より精巣にセイピン発現が観察され、セイピンは精子形成過程の後期に重要な役割を有していることが示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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