研究課題/領域番号 |
24390238
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下村 伊一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60346145)
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研究分担者 |
大月 道夫 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00403056)
福原 淳範 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00437328)
前田 法一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30506308)
西澤 均 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20379259)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アディポネクチン / Favine / T-カドヘリン / 血管内皮細胞 / 糖尿病 |
研究概要 |
(I)大動脈に存在するアディポネクチンは、定常状態では内皮細胞にのみ局在しているが、動脈硬化モデルであるApoE欠損マウス大動脈を免疫電子顕微鏡を用いて解析した結果、アディポネクチン蛋白は内皮細胞以外にも合成型平滑筋細胞にも認め、また内皮に接着している単球にもその存在が確認された。アンジオテンシンIIを負荷したマウスの心筋でのT-cadherin蛋白の局在変化の有無を検討したが、明らかな変化は認められなかった。アディポネクチンとC1qとの関連に関して、ヒトにおいてはアディポネクチン・C1q複合体血中濃度が、急性冠症候群の症例で高値を示していた。アンジオテンシンIIを負荷したアディポネクチン欠損マウスは、野生型マウスに比して、心筋C1q mRNAレベルが上昇し、アデノウイルスによるアディポネクチン補充により是正された。このとき、アディポネクチン欠損マウスの心筋beta-catenin蛋白が増加しており、その上流に酸化ストレスが関与していることが想定された。 (II)avineの生理病態的意義の解明を目的として、Favine遺伝子改変マウスの解析をおこなった。トランスジェニックマウスおよびノックアウトマウスは、通常食飼育下において体重に有意な差は認めなかった。ノックアウトマウスについては体重が減少する傾向があり、高週齢まで飼育したマウスにおいては、体重が軽い傾向があった。糖負荷試験およびインスリン負荷試験においては野生型と遺伝子改変マウスの間に差は認めなかった。通常食状態のノックアウトマウスでは、各臓器における組織学的形態な変化を認めなかった。血中Favine濃度測定系の確立に関しては、高感度化および絶対値評価を進行中であり、健常者では安定した測定値が検出されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Favineノックアウトマウスにおいて、体重や糖代謝に変化が起こる可能性が示唆された。 さらに、詳細な検討が必要であるが、Favineの機能解析の端緒となる可能性があり、本研究は順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、「アディポネクチンの障害組織への集積機構」を明らかにしていく。 また、Favineノックアウトマウスは、計画どおりに脂肪組織および肝臓での遺伝子発現量の解析を行う。高週齢までの飼育による変化の再確認を行う。初代培養細胞を作成し、Favineノックアウトマウスのフェノタイプを確認する。
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