研究課題
アディポネクチンの組織集積機構に関して、T-cadherinに着目して解析した。野生型マウスではT-cadherin とアディポネクチンは、動脈、心臓、筋肉に強く発現した。T-cadherin欠損マウスでは、アディポネクチン蛋白の組織への集積が著減し、血中アディポネクチン濃度は約3−4倍に上昇した。本マウスにアディポネクチン蛋白を投与したところ、組織への集積は障害され、血中クリアランスが低下した。T-cadherinはGPI-アンカー蛋白であることから、GPI-アンカー切断酵素であるPI-PLCを野生型マウスに投与したところ、組織におけるT-cadherin蛋白、アディポネクチン蛋白は減少し、血中アディポネクチン値は上昇した。この血中アディポネクチン値の上昇はT-cadherin欠損マウスでは認められなかった。培養血管内皮細胞ではsiRNAによるT-cadherinの発現抑制によって、アディポネクチンの結合が著明に減少した。TNF-alphaによるE-selectinやICAM-1の発現誘導は、アディポネクチン添加により抑制されるが、T-cadherin siRNAを行うと、このアディポネクチンの作用は消失した。したがって、アディポネクチンはT-cadherinを介して組織に集積し、生理作用を発揮することが明らかになった。Favineの生理病態的意義の解明を目的として、Favine遺伝子改変マウスの解析をおこなった。Favine欠損マウスは、通常食飼育下で体重が有意に低下し、血糖値は有意に上昇した。Favine欠損マウスでは肝臓と脂肪の重量が低下しており、脂肪細胞のサイズが小さかった。さらに、加齢したFavine欠損マウスでは、肝臓中の中性脂肪含量は低下した。以上のことからFavineは肝臓および脂肪組織における脂肪蓄積に関与する因子であることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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