研究課題
基盤研究(B)
骨髄異形成症候群(MDS)においてRNAスプライシングに関わる遺伝子群に高頻度かつ特徴的に後天的な変異が生じていることが明らかとなったが、その分子メカニズムは不明である。細胞株を用いた変異遺伝子の導入実験やウィルスベクターを用いたマウス造血幹細胞への遺伝子導入ならびに、同細胞を用いた骨髄移植実験においては、変異体発現細胞の細胞増殖等における生物学的な優位性は確認されず、また貧血などMI)S様の所見も観察されない。そこで、本研究では内因性の発現制御による生理的な発現量で評価を行うために、U2AF1、5F3B1、SRSF2においては変異体のコンディショナル・ノックインマウス、不活化変異が大半を占めるIRSR2についてはコンディショナル・ノックアウトマウスの作成を行った。今年度はCre-loxPシステムを用いたターゲティングベクターを作成し、ES細胞に遺伝子導入し、キメラマウスを経て、目的のマウスを取得した。今後、造血幹細胞レベルで組織特異的にCreを発現させるVav1-Creマウスとの交配を進め、来年度中には、同マウスを用いた解析研究を始動できる予定である。前述のマウスの作成を進める一方で、レトロウィルスベクターを用いた遺伝子導入系による骨髄移植実験によるhms病態の再現を試みた。これまでの検討では、変異U2AF1および変異SRSF2を単独で過剰発現させても、MDS病態につながる生物学的効果は確認されといないため、変異と共存する異常との複合的な効果をTET2欠失マウス由来の造血幹細胞および加齢マウス由来の造血幹細胞を用いて移植実験を行い、現在、キメリズムや血算などの経過を観察中である。
2: おおむね順調に進展している
本研究計画の遂行上、最も重要な変異体ノックイン・マウスは完成間近であり、平成25年度より、マウスの解析を進める。
現在、作成中のRNAスプライシング変異のコンディショナル・ノックインおよびノックアウトマウスを用いて、造血幹細胞レベルで誘導的に変異アリルを発現させ、造血系に及ぼす効果を解析し、本変異のMDS発症に関わる分子メカニズムを明らかとする。現在、観察中の移植マウスについても、引き続き、解析を行う。
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