研究課題
骨髄異形成症候群(MDS)においてSF3B1やSRSF2などのスプライシング関連遺伝子の変異は、高頻度かつ特徴的に観察をされ、MDSの病態形成に大きく寄与していると示唆されるが、その機序は明らかとされていない。そこで、分子病態を明らかとする目的に、本研究で作成したモデルマウスの解析を行った。本研究では、前年度までにSrsf2変異体のコンディショナルノックイン(cKI)マウス、U2af1変異体のcKIマウス、Zrsr2コンディショナルノックアウトマウスを作成したが、バッククロスが進んでいるSrsf2-P95HcKIマウスを用いた造血系の解析ならびにRNA解析を重点的に進めた。P95H変異はSRSF2変異の中で最も高頻度に、特にCMML例に多く認められる。造血細胞に特異的に発現するvav1-Creアレルを持つ遺伝子改変マウスと交配をさせ、造血細胞特異的にSRSF2変異体を発現させたマウスを用いることで、野生型アレルとほぼ近似した変異アレル発現量となる、MDS患者で観察される遺伝子異常を再現した。末梢血には有意な所見は観察されなかったが、骨髄中の造血幹細胞数が、同腹の野生型マウスと比し少なく、本観察結果は非競合移植実験においても再現された。野生型マウスとの競合移植実験では、変異体マウス由来のキメリズムは低く、先に行ったレトロウィルスベクターを用いた強制発現実験と類似した観察結果であった。すなわち、SRSF2変異による造血系への影響は認められたが、クローン性増殖に代表されるMDS病態への寄与は本マウスにても再現されていない。一方で、幹細胞を含む造血前駆細胞由来のRNAのシーケンス解析では、exon usageに特徴的な変化が認められ、我々が行ったSRSF2変異陽性MDS例のRNAシーケンス解析においても同様に観察され、SRSF2変異により生じたスプライシング変化であると考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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