研究課題/領域番号 |
24390245
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
安川 正貴 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60127917)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 白血病幹細胞 / 細胞傷害性T細胞 / T細胞レセプター / 遺伝子治療 / ヒト化マウス / WT1 / hTERT / 免疫療法 |
研究概要 |
白血病幹細胞を標的とした新たな免疫遺伝子治療の開発を目的で研究を遂行し、以下の結果が得られた。 1.ヒト白血病患者から骨髄白血病細胞を分離し、免疫不全マウスNOGマウスに移植した。その後、マウス骨髄からヒト白血病細胞が増殖していることを確認できた。このことから、ヒト白血病のモデル動物の作製を確立できた。 2.白血病ならびに多くの固形がんに高発現しているWT1およびAurora-A kinase特異的CTLクローンからTCR遺伝子を単離し、その発現レトロウイルスベクターを構築した。さらに、内在性TCRの発現を抑制し、効率よくTCRを発現できるsi-TCRベクターを初めて構築した。 3.WT1およびAurora-A kinase特異的TCR遺伝子導入人工CTLは、白血病細胞をHLA拘束性に傷害したが、造血幹細胞を含め、正常細胞には影響を及ぼさないことが、in vitroならびにヒト化マウスin vivo実験系で証明された。 4.上記した方法で作製した白血病ヒト化マウスに、WT1およびAurora-A kinase特異的TCR遺伝子導入人工CTLまたは、コントロールCTLを移入した。その結果、WT1およびAurora-A kinase特異的TCR遺伝子導入人工CTL移入によってのみ、白血病細胞の増殖を抑制できた。 5.さらに、白血病ヒト化マウスに大量化学療法を施行したが、白血病幹細胞の残存を確認した。大量化学療法後に、WT1特異的TCR遺伝子導入人工CTLを移入したところ、他のマウスへの白血病細胞の継代ができなかったことから、WT1特異的TCR遺伝子導入CTLの養子免疫によって、化学療法抵抗性の白血病幹細胞を根絶できることが示された。 6.以上の結果をもとに、WT1特異的TCR遺伝子導入CTLによる新規免疫遺伝子治療の臨床試験を開始するに至った(平成25年3月22日、厚生労働省承認)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画である、WT1およびAurora-A kinase特異的TCR遺伝子導入人工CTLの作製を確立し、ヒト白血病幹細胞を排除できることを、ヒト化マウスのin vivo実験系で証明できた。さらに、これらの成果をもとに、WT1特異的TCR遺伝子導入CTLによる白血病に対する新規免疫遺伝子治療の臨床試験計画を申請し、平成25年3月22日に承認を受けることができ、研究期間内に臨床応用まで結び付けることができた。
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今後の研究の推進方策 |
WT1特異的TCR遺伝子導入CTLによる白血病に対する新規免疫遺伝子治療の臨床試験を推進すると同時に、その効率化に向けた改善を様々な角度から検討して行く予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.体内で生存期間が延長できる人工CTL作製法の確立。 2.移入CTLの骨髄への集積能向上への取り組み 3.WT1特異的TCR遺伝子導入CTLによる白血病に対する新規免疫遺伝子治療臨床試験の推進
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