研究課題
骨髄に生着した白血病細胞集団から白血病幹細胞を回収し、PAI-1分子の発現を解析したところ、白血病幹細胞は他の細胞分画に比べて高いPAI-1の発現が認められた。この発現は、ヒト白血病幹細胞においても確認された。さらに、PAI-1過剰発現型白血病細胞株は治療抵抗性が高く、その抵抗性はPAI-1阻害剤で解除された。これらのことから、がんの治療抵抗性獲得にPAI-1が重要な役割を果たしていることが示唆された。そこで、がん特異的な分子標的薬にPAI-1阻害剤を併用しその効果を検討した結果、著しい抗腫瘍効果を発揮することを見いだした。すなわち、白血病細胞を生着させたマウスに分子標的薬(イマチニブ)を連続投与する実験系において、分子標的薬の投与を中断すると、分子標的薬のみを投与した群は、再発し死亡する割合が顕著に増加した。一方、PAI-1阻害剤を併用投与した群では高い治療効果が確認された。PAI-1阻害剤併用群では、骨髄ニッチに存在する白血病細胞が効率よく排除されていた。したがって、ニッチ因子であるPAI-1は、白血病治療の標的として有用であることが明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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