研究課題
リンパ造血器腫瘍ではゲノム異常、遺伝子変異が多数報告されてきたが、各病型について、染色対転座以外のゲノム異常の頻度は低く多様である。現在、これらのゲノム異常が見出されても真に意味のある異常であるかを簡便に評価する系はなく、それらがどのように腫瘍化に関わるかについてはトランスジェニックやノックアウトマウス以外にはよい方法は確立されていない。本研究は、マウス正常成熟B細胞にレトロウイルスベクターを用いて複数の遺伝子導入を行い、腫瘍化パスウェイを評価する系を確立し、真に腫瘍化に関与するゲノム異常を機能的に単離、解析することを目的とした。その方法として、正常B細胞を試験管内で遺伝子導入し、腫瘍化することを試みた。Feeder、サイトカインの存在下にて、マウス正常成熟B細胞に染色体転座関連遺伝子であるBCL2、MYC、CCND1遺伝子を導入することで、試験管内においてマウス正常成熟B細胞を腫瘍化することに成功した。この実験系を用いて、全ゲノムシークェンス法などにより見いたされている候補遺伝子を対象に複数の遺伝子の協調的作用を明らかにした。具体的には、論文報告のあったMyc, CCND3T283A, E47V557Eの3遺伝子だけでは腫瘍化できなかったが、さらにAkt, TCL1Aを用いることによって、短期間に遺伝子導入細胞を移植したマウスを腫瘍死させることができたので、これらの遺伝子群は協調的に腫瘍化機能を持っていることが証明できた。また、同時に、正常マウス成熟B細胞に複数遺伝子を導入してin vivoでも腫瘍化能を検討したところ、これまで指摘されていたTCL1A遺伝子やMEF2A遺伝子を腫瘍化に関与する機能的な遺伝子として見いだすことができた。今後は、これらの系を用いて分子標的を見いだすためのスクリーニングに利用したい。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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