研究課題
本期間において免疫回避に必要なNefドメインの解析、それを阻害しうる薬剤開発システムの構築を予定通り行った。HLA-I発現低下はNefの極めて保存された領域が担っている一方でアミノ酸多型も存在する。国内の未治療HIV-1感染者654例のnef遺伝子多型を解析し、Nefの20番目のアミノ酸変異がウイルス量と関連することを明らかとした。さまざまな病態にある91名のHIV慢性感染者由来のNefにおけるCD4とCCR5の発現抑制作用とNef多型性の関連を解析したところ、それぞれの発現低下活性は強い正の相関を示した。両機能の生体内制御を明らかにするため、Nef機能が特に低下している3クローンに着目して、機能と変異を解析したところ、一つのNefクローンでは、CD4発現抑制機能はNおよびC末端のどちらを入れ替えても回復されなかったが、CCR5発現抑制機能はC末端側のみを入れ替えることで回復した。また、別のNefクローンでは、C末端に位置する特定のアミノ酸変異を元に戻すことで両機能が回復した。こうしたことから、生体内では、さまざまな変異を組み合わせることにより、生体内での環境に適応しているものと示唆された。後者においては、これまで多用されたレポーターから新たなより小分子なNano-luciferaseに変更し、抗Nefスクリーニング効率を改善させた。Dominant negativeに働くペプチドを複数見出し、シグナル伝達やCD4やMHCのdown-regulation等の機能を失うことを明らかとしている。さらにコントロールとしてその変異を有する分子クローンウイルスを作製し、これらの変異体がその機能を失っていることを確認した。これらの成果から今後、重要なNef機能を阻害する小分子化合物の開発を行うことが可能になると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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