研究課題
1. けいれん重積型急性脳症(AESD)は日本人に多く見られる症候群で、熱性けいれん(FS)との関係(重症型か?別の病態か?)が問題となっている。平成25年度はAESD88例、FS80例、正常対照100例を対象としてサイトカイン関連遺伝子解析を行い、多型の頻度を群間で比較した。その結果IL1B(interleukin-1beta)遺伝子-511C/T多型とIL1RA(interleukin-1 receptor antagonist)遺伝子のVNTR(variable number tandem repeat)に関してAESDと対照の間で有意差を認めた。後者についてはFSと対照の間で差がなかった。現在、他の遺伝子多型について解析を続けるとともに、上記の多型に関する機能解析を行っている。2. 急性壊死性脳症(ANE)は全身のサイトカインストームにともなう脳傷害であり、自然免疫系の異常が病態として推定されている。また欧米の家族性再発性ANEではRANBP2が原因遺伝子として同定されている。平成25年度はANE32例についてRANBP2遺伝子解析(変異の有無)、HLAタイピング(クラスI, II)、サイトカイン関連遺伝子解析(多型の頻度)を行った。その結果RANBP2遺伝子変異は1例も見いだされなかった。HLA-DQ,HLA-DRの特定の型でANE発症リスクが有意に高いことが判明した。またIL6(interleukin-6)とIL10(interleukin-10)の遺伝子多型が発症と相関することも判明した。現在、これらの多型を持つリンパ球のサイトカイン産生について機能解析を進めている。
2: おおむね順調に進展している
ANE、AESDの両方について、発症の遺伝的背景として重要な因子(遺伝的多型)を見いだすことができた。機能解析もANEについてpreliminaryではあるが有望な結果が得られた。
ANE、AESDの両方について、候補遺伝子アプローチが当初の予想以上の成果をあげ、発症リスクの大きい(オッズ比の高い)遺伝子多型が次々と見つかった。このため、当初予定していたゲノムワイド解析の意義が相対的に減少したので、平成26年度はゲノムワイド解析を延期し、既に見いだした遺伝子多型の機能解析を集中的に進める。
ANE、AESDの両方について、候補遺伝子アプローチが当初の予想以上の成果をあげ、発症リスクの大きい(オッズ比の高い)遺伝子多型が次々と見つかった。このため、当初予定していたゲノムワイド解析の意義が相対的に減少したので、平成26年度はゲノムワイド解析を延期し、既に見いだした遺伝子多型の機能解析を集中的に進める。上記の計画変更(ゲノムワイド解析を延期し、機能解析を主に行う)にともない、当該助成金が生じた。平成26年度以降にこれを使用することにより、サイトカイン産生などを広く深く解明する予定である。
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