診断システムについては従来のGC/MSと25年度に確立したLC/MS/MSを組み合わせたペルオキシソーム代謝産物解析システムにより、極長鎖脂肪酸、フィタン酸、プラスマローゲンに加え、プリスタン酸の測定も可能にし、既存および研究期間中にペルオキシソーム病を疑われた未診断例を解析するとともに、26年度中に新たに43例のペルオキシソーム病患者を迅速に診断し、遺伝子解析により診断確定した。 さらにZellweger症候群患者細胞を用いたLC/MS/MSによる脂肪酸分析により、Zellweger症候群患者では対照細胞に比べ、炭素鎖26以上の飽和並びに不飽和脂肪酸も蓄積していること、プラスマローゲン各分子種の低下の詳細も明らかにした。 病態解明については、PEX2遺伝子異常によるペルオキシソーム形成異常症患者細胞ならびに対照細胞よりiPS細胞を樹立し、神経幹細胞より神経細胞への分化、embryonal bodyからの神経細胞への分化系を確立した。この系により、正常幹細胞の神経系への分化過程におけるペルオキシソームの役割が明らかになるとともに、ペルオキシソーム形成異常症の神経発生異常の病態解明が期待される。 さらにPEX2遺伝子をTALENにてゲノム編集したペルオキシソーム形成異常症疾患モデルフィッシュの作成も開始し、H26年度中に両アレルに異常を持つモデルフィッシュを獲得することが出来、個体レベルでのペルオキシソーム形成異常症発生異常の病態解析が可能になった。 今後、本研究成果により確立した解析系を用いて、ペルオキシソーム病患者の病態解明からHTSも含めた治療法の開発に繋げていく。
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