研究課題/領域番号 |
24390264
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大薗 恵一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20270770)
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研究分担者 |
道上 敏美 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所), その他部局等, その他 (00301804)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 成長障害 / 骨系統疾患 / C型Na利尿ペプチド / 成長軟骨 / cGMP / 創薬 / 骨粗鬆症 |
研究概要 |
機能獲得型NPR-B異常症を世界に先駆け発表したが(Miura K. et al PLoS ONE 2012)、韓国から同様症例の解析依頼があった。11歳男児、高身長および両母趾の過成長を認め、父親らにも同様の身体所見を認めた。NPR-B 膜貫通領域に点変異(Ala488Pro)を同定した。本変異NPRB遺伝子をHEK293A細胞に強制発現後、CNPに対するcGMP反応を解析したところ、cGMP産生能が更新していた。 軟骨特異的に変異NPRB遺伝子(前症例の変異Val883Met)を発現するトランスジェニックマウスを作成したところ、過成長、椎体・長管骨および頭蓋冠縦径の伸長、骨変形を認めた。野生型のTransgeneを導入したTgマウスを新たに作成し、変異遺伝子導入Tgマウスとは異なり過成長を起こさないということを確認した。 韓国症例も論文として報告した(Miura K et al. Am J Med Genet 2014)。NPR-Bの機能獲得変異で高身長となる事は欧州のグループからも報告され、本疾患概念は確立された(Hannema SE et al. J Clin Endocrinol Metab 2013)。また、国内から同様症例の依頼もあり、症例数は増えると予想される。 身長の伸びとCNPの関連性について、症例を増やし検討した。軟骨異栄養症(ACH/HCH) (n=20)、特発性低身長(n=24)において、成長ホルモン(GH)治療開始前と開始3カ月後の血清NT-proCNP値を比較したところ、治療開始3カ月後に増加していた。ACH/HCH患者を開始3カ月後の血清NT-proCNP値の高い群と低い群に分けると、高い群で有意に、身長増加が良好であった(+0.8 SDS vs +0.3 SDS)。 GH治療開始3カ月後の血清NT-proCNP値はGH治療の有効性を判定するのに有効である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に示したように、他研究グループからの報告もなされて、本研究の最大の特徴である、機能獲得型NPR-B異常症という疾患単位の確立に成功した。また、NT-proCNPと成長速度の関連についても、国際学会で発表できる段階で、論文作成を開始した。軟骨細胞でのCNP/NPR-B/cGMPシグナルの下流因子の検討は、まだ、成果がでていないが、その前段階のトランスジェニックマウスの作成には成功している。
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今後の研究の推進方策 |
達成度の欄に記載したように、軟骨細胞でのCNP/NPR-B/cGMPシグナルの下流因子の検討は、まだ、成果がでていないが、その前段階のトランスジェニックマウスの作成には成功していて、その軟骨組織を用いて、検討を行う。このために、新しく入学した大学院生が担当する。機能解析のために、機能喪失型変異受容体の解析も行ない、高次構造などの比較検討に用いる。
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