研究課題/領域番号 |
24390270
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
伊藤 雅之 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・疾病研究第二部, 室長 (50243407)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エピゲノム / 発達障害 / レット症候群 / インプリンティング |
研究概要 |
研究実施計画にもとづいて、以下の研究を遂行した。 (A)MeCP2の分子機構に基づくRTTの病態の解明と治療法の開発 Mecp2欠損マウスの脳組織および神経細胞から軽症化に関与する分子の特定とMBDの変異の違いが表現型を変える機序の解明のために、(1)脳組織および神経細胞からRNAを抽出し、DNAチップ解析を行った。(2)MBDの変異導入細胞からRNAを抽出し、同様に発現解析とChIP後DNAチップによる全ゲノムのメチル化アッセイを行った。(3)これらの結果から、ゲノムワイドに軽症化に関与する候補分子をもとめた結果、二つの候補分子を同定することができた。今後、時間、空間的な発現分布や回復実験を行なう。 (B)変異MECP2を導入したL929細胞(モデル細胞)へのHDAC阻害剤の投与実験 モデル細胞へHDAC阻害剤(Valproic acid、sodium butyrate、trichostatin A、MS275など)を投与し、heterochromatinの状態、既知であるIGFBP3、BDNFの発現量を定量PCR、ウエスタンブロットで評価し、治療効果を比較検討した。その結果、モデル細胞と野生型L929細胞の発現に有意な違いが見いだせなかった。in vitroでの効果はないものと考えられたが、今後同様のHDAC阻害剤効果をin vivoレベルで調べる。 (C)MeCP2遺伝子の発現とRTT発症ならびに回復治療の臨界期に関する研究 ROSA26法によるMecp2遺伝子改変マウスを確立した。ROSA26ゲノム領域にテトラサイクリンのMecp2遺伝子発現コントロールシステム導入したノックインベクターを構築し、マウスを作成した。今後、テトラサイクリン投与によるMecp2発現変化を調べ、治療の臨界期の特定を行なう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画どおりに概ね進めることができている。しかし、Mecp2遺伝子発現コントロールマウスの作出が幾分遅れている。これは次年度に十分取り戻すことが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
研究の方向性は、当初研究計画どおりである。MeCP2の分子病態から治療候補分子を同定すること、培養細胞を用いた治療薬スクリーニング、Mecp2遺伝子発現コントロールマウスによる治療臨界期の解明である。これらMeCP2分子を中心とした病態解析をすすめ、治療法開発のための基盤を作り上げていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の解析のうち、免疫組織化学的解析が若干遅れている。このための試薬(抗体など)の購入と研究補助者の人件費に充てる予定である。
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