研究課題
研究実施計画にもとづいて、以下の平成25年度の研究を遂行した。(A) MeCP2の分子機構に基づくRTTの病態の解明と治療法の開発:Mecp2のMBDの変異の違いが表現型を変える機序の解明のために、MBDの変異導入細胞からRNAを抽出し、前年度と同様に同様に発現解析を行った。これらの結果から、ゲノムワイドに軽症化に関与する候補分子をもとめた結果、二つの候補分子を同定することができた。 今後、時間、空間的な発現分布や回復実験を行なう。(B) 変異MECP2を導入したL929細胞(モデル細胞)へのHDAC阻害剤の投与実験:モデル細胞へHDAC阻害剤(Valproic acid)を投与し、IGFBP3の発現量を定量PCR、ウエスタンブロットで評価し、治療効果を比較検討した。その結果、モデル細胞と野生型L929細胞の発現に有意な違いが見いだせなかった。in vitroでの効果はないものと考えられたが、今後同様のHDAC阻害剤効果をin vivoレベルで調べる。(C) MeCP2遺伝子の発現とRTT発症ならびに回復治療の臨界期に関する研究:ROSA26法による Mecp2遺伝子改変マウスを確立した。ROSA26ゲノム領域にテトラサイクリンのMecp2遺伝子発現コントロールシステム導入したノックインベクターを構築し、マウスを作成した。しかし、このマウスの交配を進めることが困難なため、今後凍結胚細胞を作成し再生することで、個体確保に努める。
3: やや遅れている
研究計画どおりに概ね進めることができている。しかし、Mecp2遺伝子発現コントロールマウスの作出が幾分遅れている。これは、Mecp2遺伝子改変マウスとCre発現マウスとの交配が進めず、発現制御マウスが作成できなかったことによる。そのため、やむを得ず体外受精を行ったが、十分な個体の確保ができず、次に作成予定であったMecp2欠損マウスとの交配ができなかった。結果として、Mecp2遺伝子発現コントロールマウスの解析ができなかった。この原因は不明であるが、今後ヘテロマウスによる凍結胚作成により、個体確保に努め、テトラサイクリンによる症状発現と治療可能時期の同定に努める。
研究の方向性は、当初研究計画どおりである。MeCP2の分子病態から治療候補分子を同定すること、培養細胞を用いた治療薬スクリーニング、Mecp2遺伝子発現コントロールマウスによる治療臨界期の解明である。これらMeCP2分子を中心とした病態解析をすすめ、治療法開発のための基盤を作り上げていく。しかし、後者については研究の遅れが予想される。
Mecp2遺伝子改変マウスとCre発現マウスとの交配が進めず、発現制御マウスが作成できなかったため、やむを得ず体外受精を行い、個体確保を図ったが、年度内に十分な個体の確保ができず、次に作成予定であったMecp2欠損マウスとの交配ができなかった。このため、実験動物とその飼育にかかる費用を次年度に持ち越した。
次年度では、上記対策のもとに個体確保を行い、実験遂行をはかる。
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PLoS ONE
巻: 8 ページ: 66729
2013;8(6):e66729
SRL宝函
巻: 34 ページ: 28-39