研究課題
平成26年は、主にMECP2遺伝子発現制御マウスの確立と解析を進めた。(A) MeCP2遺伝子の発現とRTT発症ならびに回復治療の臨界期に関する研究: ROSA26ゲノム領域にテトラサイクリンのMecp2遺伝子発現コントロールシステム導入したノックインベクターを構築し、マウスを作成した。前年度に引き続き、凍結胚細胞を作成し再生することで、個体確保を行った。さらに、Mecp2欠損マウスとの交配が必要なため、これを進めた。その結果、Mecp2発現制御マウスを作ることに成功したが、ここでも個体発生が十分に得られなかった。(B) MeCP2の分子機構に基づくRTTの病態の解明と治療法の開発:Mecp2のMBDの変異導入細胞の解析の結果から、軽症化に関与する二つの候補分子を得た。 マウスにおける発現解析の結果、脳、骨格等広く分布することがわかった。
3: やや遅れている
Mecp2発現制御マウスの解析は遅れているものの、細胞生物学的研究は研究計画どおりに概ね進めることができた。Mecp2発現制御マウスの遅れは、Mecp2遺伝子改変マウスとCre発現マウスとの交配が進められなかったことによる。平成26年度は、体外受精を行いMecp2遺伝子改変マウスの確保をはかった。さらに、次に必要なMecp2欠損マウスとの交配でも十分な個体発生が得られなかったため、体外受精を再度行った。結果として、Mecp2遺伝子発現制御マウスは少数得られたものの、十分な解析ができなかった。一方、レット症候群の軽症化に関与する分子の解析は、個体レベルの発現分布を解明することができた。
研究の方向性は、当初研究計画どおりである。MeCP2の分子病態から治療候補分子を同定すること、培養細胞を用いた治療薬スクリーニング、Mecp2遺伝子発現コントロールマウスによる治療臨界期の解明である。これらMeCP2分子を中心とした病態解析をすすめ、治療法開発のための基盤を作り上げていく。しかし、後者については大幅な研究の遅れが予想される。
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J Neuropathol Exp Neurol
巻: 73 ページ: 798-806
Am J Pathol
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http://dx.doi.org/10.1016/j.ajpath.2014.02.022