研究課題
昨年度までの研究成果により、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)から、胎児期における自然免疫の発生と発症、特にアレルギーに関与すると考えられる結合組織型肥満細胞や好酸球への分化誘導法を開発した。本年度は、まずこれらの分化誘導法の誘導条件を至適化し、大量の結合組織型肥満細胞と好酸球の安定的確保が可能となった。そこで、ヒトES細胞から分化誘導された十分量の結合組織型肥満細胞と好酸球を用いて、これらのアレルギー関連細胞の機能を検討した。1)ヒトES細胞由来結合組織型肥満細胞の機能の検討compound 48/80、あるいはsubstance Pで刺激したところ、ヒトES細胞由来結合組織型肥満細胞は、刺激物質濃度依存的にヒスタミンを放出した。2)ヒトES細胞由来好酸球の機能の検討分泌型IgAで刺激したところ、ヒトES細胞由来好酸球は、健常人末梢血中の好酸球に匹敵する量のEDNを放出した。また、eotaxin、IL-5、fMLP刺激に対する遊走能を確認することができた。以上の結果は、ヒトES細胞から十分な機能を有する結合組織型肥満細胞や好酸球が分化誘導されたことを示している。したがって、ヒトES細胞からこれらの結合組織型肥満細胞や好酸球を分化誘導する過程は、胎生期の結合組織型肥満細胞や好酸球の発生・分化・成熟過程を再現していると考えられ、これらの過程を解析することにより、今後更に自然免疫の発生と発症メカニズムが解明されることが期待される。
3: やや遅れている
研究実績の概要に示したように、胎児期の肥満細胞、好酸球、好塩基球の発達については、かなり解明が進んだ。今後はマクロファージ、好中球、樹状細胞、NK細胞についても、ヒトES細胞からの安定的分化誘導法の確立と解析を進める必要がある。
胎児期の肥満細胞、好酸球、好塩基球の発達については、さらにより詳細な解析を行う。マクロファージ、好中球、樹状細胞、NK細胞については、ヒトES細胞からの至適分化誘導法を確立し解析することで、その胎児期における発達を解明する。
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