研究課題/領域番号 |
24390273
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
伊東 宏晃 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (70263085)
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研究分担者 |
杉原 一廣 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (00265878)
鈴木 一有 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50456571)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 医療・福祉 / 周産期,新生児医学 / 低出生体重児 / タボリックシンドローム / DOHaD / 脂肪肝 |
研究概要 |
本研究計画の目的は、胎生期に低栄養環境に曝された低出生体重児として生まれることと、出生後の授乳期に良好な発育パターンを示すことが、成人期・老年期にメタボリックシンドロームや心血管障害を発症するハイリスクとなる科学的なメカニズムの一端を解明する事である。 平成24年度の動物実験実験により、胎生期低栄養マウスモデルでは、3週齢離乳時の体重%△SDは高脂肪食負荷後17週齢の体重、血糖値、総コレステロール値と正の相関をしめすこと明らかにした。 さらに、3週齢離乳時の体重%△SDと白色死脂肪組織における炎症性のM1マクロファージ浸潤、TMF-αやMCP-1などの炎症性サイトカインの浸潤のみならず脂肪組織のリモデリング(大型脂肪細胞とともに30μ以下の小型の脂肪細胞の比率が増加する)相関することを明らかにした。以上の成績から、胎生期で低栄養環境に曝された後に授乳期に良好な発育を示した場合、脂肪細胞に炎症性のリモデリングが惹起され、糖代謝・脂質代謝異常や肥満の増悪をきたすという仮説を提唱した。この内容をReproductive Science誌に投稿してacceptされた(in press 2013)。さらに、平成25年3月20日に米国フロリダで開催された第60回米国産科婦人科学会(SGI)にて研究成果を発表した。 さらに、同じ胎生期低出生体重栄養マウスモデルの解析において、3週齢離乳時の体重%△SDは18週齢における肝臓重量と正の相関を示したが、正常群では相関を認めなかった。胎生期低栄養群の17週齢肝臓では肝細胞の腫大と脂肪滴蓄積の増大などnon-alcohohc fatty liver disease (NAFLD)様変化を認めたが、対照群では認めなかった。これらの知見から、胎生期で低栄養環境に曝された後に授乳期に良好な発育を示した場合、NAFLD発症のリスク因子となるという仮説を想定し研究を展開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定の研究成果を収め、論文を投稿し米国産婦人科学会で成果を発表しているから
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究成績より、胎生期で低栄養環境に曝された後に授乳期に良好な発育を示した場合、NAFLD発症のリスク因子となるという仮説を想定し研究を展開する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度では、胎生期低出生体重栄養マウスモデルを用いて、NAFLD発症のリスク因子を形成する具体的なメカニズムを解析する予定である。
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