研究課題/領域番号 |
24390274
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西江 渉 北海道大学, 大学病院, 講師 (20443955)
|
研究分担者 |
氏家 英之 北海道大学, 大学病院, 助教 (60374435)
新熊 悟 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (00613788)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 生体分子 / タンパク質 / 細胞・組織 / 酵素 / 自己免疫 |
研究概要 |
本研究の目的は、水疱性類天庖瘡(Bullous pemphigoid:BP)の自己抗原である"ヒト17型コラーゲン(COL17)分子"を自在に発現制御可能なマウスを作製し、BPと表皮水疱症(Epidermolysis bullosa : EB)の病態メカニズム解明と新規治療法開発を行うことである。 平成24年度は、in vitroの培養系を用いCOL17の発現制御効率の評価と、培養細胞の遊走や接右におけるCOL17の生理機能の解明を計画していた。具体的な研究実績として、まず最初に、COL17遺伝子発現ベクターとTet-onシステム制御ベクターをそれぞれ安定発現するHEK293細胞を作製した。得られた遺伝子改変HEK293細胞の培地へドキシサイクリンを投与すると、(投与16時間後には)容量依存性にCOLl7の発現が増強することを確認した。発現誘導したCOL17の細胞外ドメインは培地中へ切断されていたため、膜タンパクとしてCOL17が正しく発現していることが確認できた。更にドキシサイクリン投与前ではCOL17の発現を検出できなかったため、基底レベルでのリーキングが極めて少ないことが確認できた。この結果は、将来、マウス皮膚で後天的にCOL17を発現させることで、抗原抗体反応を惹起させる実験系の実現性を示唆するものといえる。現在、アクチンをGFP標識したLifeactマーカーを更に導入し、COL17の発現量とアクチン線維ダイナミクスとの関連についてタイムラプス蛍光顕微鏡下で解析中である。ヒトおよびマウスCOL17発現(-)表皮基底細胞に関しては、通常のリポフェクションやエレクトロポレーションでは安定発現株を得るために十分な遺伝子導入効率が得られなかったため、レトロウイルスを用いた遺伝子導入系へ変更した。現在、ホスト細胞の作製を継続中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Tetシステムを用いることで、COL17タンパクの発現をドキシサイクリン濃度依存性に制御可能であることをin vitroの実験で明らかにすることが出来た点が一番重要である。表皮基底細胞への遺伝子導入効率が低かったためにHEK293細胞での実験が先行しているが、遺伝子導入法を変更したことで表皮基底細胞での検討も近日中に可能となる見込みが高いため。
|
今後の研究の推進方策 |
概ね当初の実験計画通りに進んでいるため大きな推進方策の変更は無い。
|
次年度の研究費の使用計画 |
<Tet-on/offシステム制御ベクター発現TgマウスとヒトCOL17cDNA発現ベクターTgマウスの作成> 平成24年度に引き続きin vitro系で、COL17の生理機能の解明を進め、Tet-on/off Advanced vectorをそれぞれケラチン14プロモーター下に組み込んだTgマウス作製を開始する。同様に、pTRE tight vectorへ導入したヒトCOL17 cDNA発現Tgマウス、GFP-ヒトCOL17 cDNAを発現するTgマウスを作製する。
|