研究課題
標準的な薬物療法に抵抗する難治性の抑うつ状態は、気分障害、脳器質性障害その他の精神疾患でしばしば認められ、患者の日常活動を著しく障害するだけでなく、自殺行動に結びつくことも多いことから、新しい治療法の開発が医学的・社会的急務となっている。本研究では、NMDA型グルタミン酸受容体遮断薬が、難治性抑うつ状態に対して即効的で持続する効果を発揮することや、抑うつ状態の動物モデルを改善することが報告されている点に注目し、 NMDA受容体機能を、本受容体の様々な調節部位やそれ以外の分子細胞システムを介して抑制することによって、難治性抑うつ状態を改善する、新規治療法を開発するための基礎的・臨床的研究を行う。基礎的研究では、NMDA受容体に結合部位をもち抑制性に制御する亜鉛の細胞外各アミノ酸濃度に対する影響を検討した。塩化亜鉛(100~1000μM)をダイアリシスプローブ中に持続的に灌流すると、D-セリン濃度が塩化亜鉛濃度依存的に減少した。これに対して、L-セリン濃度には有意な変化は見られず、グリシン、L-グルタミン酸およびタウリンの濃度は増加した。以上の結果から、亜鉛イオンが細胞外D-セリン濃度の調節に関与することが示唆され、NMDA受容体機能抑制と関係する可能性が推測されるが、そのメカニズムを引き続き検討中である。臨床的研究では、難治性うつ病患者に対するifenprodilの投与試験を行ったが、入院症例の2名に留まりさらに継続することとした。このうち1名は無効であり、他の1名は改善傾向が認められたものの肝機能障害が生じたため中止した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 1件、 査読あり 11件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 2件、 招待講演 6件) 備考 (1件)
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