研究課題/領域番号 |
24390281
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
鈴木 道雄 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (40236013)
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研究分担者 |
高橋 努 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (60345577)
住吉 太幹 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, その他部局等, 上級専門職 (80286062)
水野 雅文 東邦大学, 医学部, 教授 (80245589)
松本 和紀 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40301056)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 前駆期 / 初回エピソード / 神経発達 / 磁気共鳴画像(MRI) / ミスマッチ陰性電位(MMN) |
研究概要 |
At Risk Mental state(ARMS)患者、初回エピソード統合失調症(FES)患者、および健常者を対象に以下の検討を行った。 (1)視床間橋および透明中隔腔の出現頻度と大きさの比較:磁気共鳴画像(MRI)を用いて、関心領域法により視床間橋および透明中隔腔の出現頻度と大きさ(前後長)を評価した。横断的比較では、FES患者の視床間橋の前後長は健常者に比較して有意に短かった。縦断的検討では、FES患者と健常者の両群において、視床間橋の経時的な短縮が認められた。透明中隔腔に関しては有意な変化はなかった。 (2)嗅溝の深さの比較:嗅溝は胎生16週頃に形成されることが知られている。MRI画像を用いて嗅溝の深さを測定した。横断的比較において、FES患者では、嗅溝の深さは両側とも健常者より有意に浅かった。縦断的検討では、嗅溝の前後長および深さともに、いずれの群でも経時的変化を示さなかった。ARMS患者と健常者の比較では、嗅溝の深さはARMS患者で有意に浅かった。ARMS患者のうち、後に精神病に移行した者と移行しなかった者の間で嗅溝の深さに有意差はなかった。 以上の結果から、統合失調症の発症前から認められ、早期神経発達障害に由来すると考えられる脳構造変化の中には、発症後に進行を示すものと静止性のものがあり、特異的な発症予測マーカーを見出すためにはそれらの区別が必要と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集の体制を整え、ほぼ順調に収集を進めている。また各検査モダリティ別の解析もほぼ計画通りであり、研究成果を順次公表している。また新たな脳画像データの解析法を導入し、研究の幅が広がっている。
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今後の研究の推進方策 |
他施設との共同研究体制を維持し、データ収集を継続しながら、解析を進めていく。これまでは研究代表者の施設のデータの解析を行い、結果の一部を公表してきたが、今年度からは多施設データの解析に着手し、結果を順次公表していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
論文の掲載が予定よりやや遅れたため、掲載料として見込んでいた金額を次年度使用とすることとした。 前年度に投稿した論文の掲載料として次年度使用額を当て、今年度分として請求した研究費は計画の予定通りの遂行に用いる。
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