研究課題
健常人については平成24年度に引き続きSelf-Referential Task、及び安静時の脳機能計測を実施し、被験者数を増やした上でさらなる解析を行った。その結果、ストレス脆弱性(幼若期ストレス、損害回避傾向)が高い個人では前頭内側部の機能低下が認められることが明らかとなった。このことから、Self-reference Task遂行時や安静時に認められる内側前頭の機能低下が、うつ病における情動制御機能の低下と関連している可能性が示された。これらの成果については査読付きの国際誌に投稿しすでに出版されている。また健常者で行った実験課題を慢性疼痛に対してMRIで行い、痛み刺激時における脳活動のうち、島皮質の脳領域で悲しみを感じているときに健常者と比較してより強い活動がみられていた。これらの結果は、痛みと情動に関わる神経、心理的機序についての示唆及び、今後の慢性疼痛の病態理解やCBTを用いた検討への基礎を与えるものである。これらの成果については査読付きの国際誌に投稿しすでに出版されている。
2: おおむね順調に進展している
うつ病に対して、自己関連付け課題(Self-Referential Task)を用いたfMRIによる脳機能解析を認知行動療法前後で行うことができ、本研究の目的である治癒過程における修復機構の解明に関し一定の成果を上げることができたため。また同様に慢性疼痛に対してEmotional Pain Perception Taskを用いた脳機能評価を行うことができ、慢性疼痛の病態理解に対して一定の成果を上げることができたため。
今後も本研究の目的に沿った課題を継続する。
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