研究課題
健常人を対象に自己関連付け課題遂行時と安静時の脳血流の変化を測定し、情動制御に関わる前頭側頭部位の脳機能を検討した。解析の結果、内側前頭部における自己関連付け課題及び安静時の脳活動が低下することが明らかとなった。これらの結果は、うつと情動制御に関わる神経、心理的機序についての示唆及び、CBTを用いた検討への基礎を与えるものである。また、うつ病患者に対してCBTの治療前後でSelf-Referential Task中の脳活動の測定し、健常者も含め比較検討を行った。ポジティブ刺激呈示時に活動低下がみられていた内側前頭部、腹側前帯状回で、CBT治療後では活動増加がみられ、ネガティブ刺激呈示時ではCBT治療後で活動低下が認められた。これらの結果は、うつ病に対するCBTの治療効果が内側前頭部、腹側前帯状回といった情動制御に関わる特定の脳領域との関連が示唆され、うつ病の治療機序の理解につながるものである。さらに健常者に対して疼痛刺激を用いた情動ストレス課題をMRI、MEGで行い、疼痛刺激時における脳活動のうち、前帯状回、扁桃体、一次体性感覚野の脳領域で悲しみを感じているときにより強い活動がみられていた。健常者で行った実験課題を疼痛性障害に対してMRIで行い、疼痛刺激時における脳活動のうち、島皮質の脳領域で悲しみを感じているときに健常者と比較してより強い活動がみられていた。これらの結果は、疼痛と情動に関わる神経、心理的機序についての示唆及び、疼痛性障害の病態理解に対して成果を上げることができた。これらの成果については査読付きの国際誌に投稿しすでに数多く出版されている。さらなるうつ病や疼痛性障害への病態理解やCBTを用いた治癒過程における修復機構の解析を行い、新たなコントロール法・予防法の開発につながる知見が期待される。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)
Psychiatry Research: Neuroimaging
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