研究課題
1)放射線・免疫融合療法:マウスの大腿皮下に移植した腫瘍にX線照射した後、頭蓋内へ同じ腫瘍細胞を再移植すると、照射後も皮下腫瘍が増大した個体では全例で脳内に腫瘍が形成されたが、皮下腫瘍が治癒した個体では全例で脳内に腫瘍は形成されなかった。脳内の腫瘍を拒絶した個体ではINF-gammaが産生され、腫瘍移植部位にCD8陽性のCTLが浸潤していた。以上から、脳内の腫瘍の拒絶は、腫瘍特異的細胞性免疫の賦活による「アブスコパル効果」によるものと考えられた。2)陽子線と炭素線のDNA損傷の分子イメージングによる解析:免疫染色による分子イメージングによってDNA損傷の複雑性と局在性について検討した。照射後30分では、炭素線照射は陽子線より有意に複雑なDNA損傷を形成したが、時間経過とともに減少し、24時間後には線源によるDNA損傷に差は見られなくなった。何れの線源においても、時間経過とともに核内に巨大な53BP1 foci(V > 2.1μm3)が形成され増加した。この巨大な53BP1 fociは、heterochromatinのマーカーであるH3K9me3のfociとは共存していないことから、euchromatin 領域に存在することが示唆された。3)陽子線と炭素線のDNA損傷修復メカニズム:陽子線、炭素線照射後のCHO細胞の生存率は、主たるDNA修復径路である非相同末端結合(NHEJ)又は相同組換え(HR)に依存しており、特に、DNA-PKcsが欠損したCHO細胞はこれらの粒子線に対して最も高い感受性を示した。また、正常細胞とHR欠損細胞は炭素線に高い感受性を示したが、NHEJ欠損細胞では感受性は高くならなかった。以上から、陽子線と炭素線により生じるDNA損傷は主としてNHEJにより修復されるが、炭素線照射によるDNA損傷修復にはHRがより寄与していることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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