研究課題
基盤研究(B)
1.平成24年度にはヒト及びマウスのT細胞において、インテグリン分子からの刺激、及び共通ガンマ鎖サイトカイン、特にIL-2,IL-21からの刺激がT細胞のBcl-2,CD122の発現を上昇させ、活性化カスパーゼ3の発現を抑え、細胞の生存性を向上させるとともに、CD127^<high>KLRG1^<low>のメモリープレカーサー細胞の生成を向上させることを見出した。さらにこれらの現象がT細胞のマルチファンクション性の獲得と相関することを見出した(第16回日本がん免疫学会招待講演、日本癌学会・日本がん免疫学会主催Lloyd J Old Memorial Symposium招待講演他)。2.腫瘍特異的TCR遺伝子導入T細胞の開発を進め、MAGE-A4特異的TCR、NY-ESO-1特異的TCR、WT-1特異的TCRをレトロウイルスベクターにより効率良く発現するT細胞を作製し(Neuro. Oncol.2013、第18回日本遺伝子治療学会招待講演他)、これらを用いた遺伝子治療臨床試験を開始し、一部は終了した。これらの臨床試験検体は、本課題の命題である、T細胞の運命と質の評価とそのがん治療への応用を解析する貴重な試料となる。同時にTCR遺伝子導入T細胞輸注療法のマウスモデルを開発し(第18回日本遺伝子治療学会、第16回日本がん免疫学会他)、T細胞の生体内生存性や抗腫瘍効果に関わる質の評価系を確立した。3.腫瘍特異的レセプター遺伝子をより効率良く発現する新規レトロウイルスベクターを開発した(Mol. Ther.Nucleic Acids.2012他)。4ファージディスプレイライブラリーを用いた新規腫瘍特異的抗体のスクリーニング系を確立した。本系を用いてscFv抗体遺伝子を用いたキメラ抗原受容体(CAR)による抗原レセプター改変T細胞を開発作製することが可能になった。
1: 当初の計画以上に進展している
T細胞の生体内運命の決定因子の解析が1頂調に進んでいる。特筆すべきは、TCR改変T細胞輸注療法の臨床開発、TCR改変T細胞輸注療法のマウスモデル系、ファージディスプレイライブラリーを用いた新規腫瘍特異的抗体のスクリーニングが当初予定を上回るスピードで達成され、これらの成果を用いた研究を前倒しで行うことが可能になった。
TCR改変T細胞輸注療法の臨床開発、TCR改変T細胞輸注療法のマウスモデル系、ファージディスプレイライブラリーを用いた新規腫瘍特異的抗体のスクリーニングが当初予定を上回るスピードで達成されているので、これらの成果を用いた研究を特に推進する。
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Neuro. Oncol.
巻: (Epub ahead of print)
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http://www.shikuken.jp/