研究課題
冠動脈バイパスや閉塞性動脈硬化症の治療のためにも小口径人工血管に対する期待は大きいが、未だに直径3mm以下の人工血管は実用化されていない。超高圧脱細胞血管は、ミニブタ肺動脈弁および大口径血管移植において良好な成績を収めているものの、同様の手法で作成した内径約1mmの脱細胞ラット腹部大動脈血管の移植後の開存性は低く、ヘパリン未使用下での1ヶ月開存率は20%以下であった。脱細胞組織は基本的に血栓形成作用が強いコラーゲン組織からなっており、小口径血管として使えなくても何ら不思議はない。しかしながら、生体血管とほぼ同様のコンプライアンスを有し、自己組織と弛緩する可能性がある脱細胞組織が魅力的であることに違いはない。そこで、内皮細胞を特異的に接着させるペプチドリガンド(REDV)を、脱細胞化血管内腔に配列する戦略である。(Pro-Hyp-Gly)の繰り返し配列とREDV配列を有するオリゴペプチドを合成し標的配列を同様に導入した。ラット下行大動脈をUHP処理により脱細胞処理し、上記オリゴペプチド溶液に浸漬して60分間処理した。Q-Dot 625により標識した正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をin vitroにて播種し、その特異的接着性を共焦点レーザー顕微鏡により評価した結果、REDV配列似て修飾した脱細胞化組織には播種したHUVECの約80%以上の細胞が接着し、コントロール表面と歯大きく異なる結果で、本修飾法の有用性が確認できた。ペプチド修飾ラット下行大動脈をSDラット腹部下行動脈に移植したところ、移植後1か月において、開存率が約80%に達した。さらに、組織染色の結果、移植血管の表面に再生した血管組織が示された。しかし、ラット腹部置換モデルは、比較的開存性が高いモデルであることが古くから知られており、大動物を用いた検証が必要である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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