研究課題
本研究では、生物の適応性と関係の深い確率論的アプローチと心拍にも見られる同期現象を応用することで自律的適応性を有し生体の制御系へ能動的に働きかける人工心臓制御の開発を目的とする。本年度は、VAD用駆動制御システムの最適化と動物実験に使用可能なシステム構築を目指しておもに以下の項目を実施した。(1) 先行研究における慢性動物実験にて、拍動流VADの拍動数に自己心が同期する引き込み現象、補助循環下での自律神経系指標・心拍数と心負荷との相関性が確認されてきた。これらの現象は慢性期に確認されており、これらの現象を応用しようとする本制御手法の総合的な評価のため、市販の血液ポンプを駆動可能なコントローラを試作した。対象とした遠心血液ポンプは当施設で血液ポンプを体外に設置した左心バイパスモデルでの使用実績を有しており、これを駆動可能なモータドライバおよび自律的制御機能を組み込んだコントローラから構成される試作システムを構築した。(2) 開発システムを左心補助模擬循環回路に接続し、拍動負荷における挙動を評価した。その結果、適応的な流量維持に関して循環抵抗の変化に対して設定流量を維持可能であった。また、模擬循環回路にチャンバーを設けることで脱血時に吸い付きが生じる状況を再現したところ、定常回転数による駆動で頻回な吸い付きが生じたのに対して、本制御による駆動では、吸い付きの頻度を12%程度に低減可能であった。一方、LF/HFを指標とするアルゴリズムは模擬循環試験によるシミュレーション上意図した動作が可能なものの、慢性実験による評価が完了しておらず、実用化に向けては生理的反応がある環境での安全性や機能性、信頼性の面で課題が残されている。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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