研究課題
1. Balb/cマウスの皮下に腫瘍を摂取することにより自然肺転移をおこすcolon26亜株LuM1 にPhosphatydyl serine specific phospholipase-1 (PSPLA-1)遺伝子を導入した細胞株LuM-1-PSPLA-1を作成した。In vitroのMTSアッセイにてLuM-1-PSPLA-1はLuM-1-mockと比べて放射線による細胞障害感受性に変化はなかったが、AnnexinV結合能で判定した照射後細胞表面におけるPSの発現量は有意に低下していた。このLuM-1-PSPLA-1、LuM-1-mockの皮下腫瘍を作成し、その1週間後から皮下腫瘍部分に限局した放射線照射(2Gy x3日連続)を1,3週目に施行し、4週目で皮下腫瘍、肺転移の成長を検討した。皮下腫瘍はLuM-1-PSPLA-1、LuM-1-mockともに放射線治療群(RT)で約50%程度の成長抑制が認められ、その制御率には有意差は認めなかった。一方、肺転移を肺重量で評価すると、LuM-1-PSPLA-1では照射による影響はほとんど認めなかったが、LuM-1-mockでは約15%低下した。この差は統計学的有意差には至らなかったが、照射によって障害された大腸癌細胞上のPSの存在は局所における免疫学的変化を誘導する可能性が示唆された。すなわち、遺伝子導入したPSPLA-1により、アポトーシスをきたしたがん細胞上のPSがLysoPSに変化することにより、貪食をのがれるとともに局所の免疫応答が抑制された結果、肺転移の抑制が観察されなかった可能性が推測された。2.並行して行っている直腸癌の放射線化学療法を施行した患者の臨床データの解析から、血清中のCD40-ligand (sCD40L)高値が照射の奏功と正の相関があることが判明した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
PSPLA-1遺伝子導入株を用いた照射に関する研究はまだ完遂できておらず、今後の進展に応じて随時報告予定である。
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