研究課題/領域番号 |
24390313
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
梛野 正人 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (20237564)
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研究分担者 |
江畑 智希 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (60362258)
横山 幸浩 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378091)
國料 俊男 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (60378023)
千賀 威 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80419431)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 胆管癌 / 膵癌 / セリンスレオニンキナーゼ |
研究概要 |
新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤の開発:胆管癌細胞株、膵癌細胞株に対する増殖能、浸潤能などの機能解析により増殖能、浸潤能に関連するキナーゼ遺伝子を同定した。このセリンスレオニンキナーゼに対して相互マシンラーニング法により新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤の候補化合物を150種類選択した。選択した候補化合物に関してin vitroキナーゼアッセイを行ない、セリンスレオニンキナーゼ活性の抑制効果を持つ新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤を選択した。 胆管癌、膵癌細胞株を用いた新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤の機能解析:新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤を胆管癌細胞株、膵癌細胞株に導入し、MTTアッセイによる増殖能とトリパンブルー色素排出試験による細胞死誘導能について検討した。その結果、新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤に癌細胞に対する増殖抑制能と細胞死誘導能のあることを確認した。また増殖抑制能と細胞死誘導能は濃度依存的であった。 担癌動物実験モデルを用いた新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤の機能解析:先行実験としてヒト胆管癌、膵癌のマウス皮下発癌モデルに新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤を経口にて週1回で3週連続投与し、その抗腫瘍効果を検討した。いずれの皮下発癌においても新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤投与群において腫瘍の増殖抑制効果を認めた。軽度の体重減少を認めたが、新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤投与に伴う死亡例などは認めなかった。今後、副作用やその作用機序の解明を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤の同定ができており、胆管癌、膵癌細胞株を用いた新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤の機能解析により、新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤に癌細胞に対する増殖抑制能と細胞死誘導能のあることを確認している。またヒト胆管癌、膵癌のマウス皮下発癌モデルを用いた新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤の機能解析によりに新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤の腫瘍の増殖抑制効果を認めた。おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1.siRNAライブラリーを用いた癌細胞での浸潤能などに関連するキナーゼ遺伝子の同定を継続して行う。また新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤を胆管癌、膵癌細胞株に導入し、浸潤能などを検討する。 2.新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤の基礎的研究として胆管癌、膵癌細胞株へ新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤を投与後、DNAアレイ法による網羅的遺伝子解析を行ない、シグナル伝達系を明らかにする。また同定したシグナル関連遺伝子を標的にしたshRNAを作成し、恒常的にシグナル関連遺伝子を抑制したドミナントネガティブ細胞株を作成し、その機能をさらに検討する。 3.担癌動物実験モデルを用いた新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤の機能解析を継続する。ヒト胆管癌、膵癌の皮下発癌モデルでの投与量などを変更し、その有効性を明らかにする。腹膜播種、肝転移モデルに新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤を投与し、その効果を明らかにする。 4.新規セリンスレオニンキナーゼ阻害剤の誘導体を数種類作成する。これら誘導体をヒト胆管癌細胞株、膵癌細胞株に投与し増殖能、アポトーシス誘導能、運動能、浸潤能、足場非依存性増殖により抗腫瘍効果を明らかにする。
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