研究課題
これまでに、膵癌患者の癌細胞から当科にて樹立した細胞株 (YPK2及びYPK5) から、独自培養法により癌幹細胞様細胞 (YPK2-Lm及びYPK5-Lm) を誘導することに成功している。これにより、培養細胞集団から膵癌幹細胞集団について約100倍の濃縮が可能となった。これらの癌幹細胞様細胞は、癌幹細胞マーカーの一つであるCD44 variant, CD24, CD44, and ESAの発現及びALDH活性がそれぞれの親株と比較して亢進していた。さらに、上記癌幹細胞様細胞においてマウスへの移植実験から腫瘍形成能の亢進も見られた。これら、親株と誘導膵癌幹細胞様細胞とについて、網羅的発現解析結果 (cDNAマイクロアレイ、二次元電気泳動、及びMALDI TOF/TOF MS) から誘導膵癌幹細胞様細胞における発現亢進が認められた2つの候補分子 (タンパク) に絞って解析を進めた。これらの誘導膵癌幹細胞様細胞における発現亢進は、フローサイトメトリー解析においても再確認され、また、それらの発現はCD44 variantの発現と関連していた。さらに、ヒト膵癌臨床サンプルを用いての免疫組織染色解析から、膵癌幹細胞特異的タンパク候補である上記2つの内一つの発現強度が、腫瘍径とともに膵癌患者の独立した予後規定因子であることを明らかとした。以上の結果から、上記のタンパクは、膵癌免疫療法のターゲットとなりうる膵癌幹細胞特異的タンパクであることが示唆された。この標的タンパクについて、免疫学的に反応性が高いペプチドの同定を膵癌患者PBMCを用いてのELISPOTアッセイにより検討を試みたが、膵癌患者PBMCは他癌腫患者PBMCと比較して免疫学的反応性が低く、実験条件の改良が必要であった。抗原刺激回数を増やすことで実験条件の改善が見られたことから、今後、免疫療法に適した抗原ペプチドの同定を進めていく。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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