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2013 年度 実績報告書

膵癌浸潤を先導するリーディングセルの解明:第3の浸潤機構に基づく癌治療の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 24390318
研究機関九州大学

研究代表者

田中 雅夫  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30163570)

研究分担者 永井 英司  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30264021)
大塚 隆生  九州大学, 大学病院, 助教 (20372766)
江上 拓哉  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (40507787)
森山 大樹  九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (70586859)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード膵癌 / リーディングセル / 膵星細胞 / コラーゲン / 上皮間葉転換
研究概要

膵癌浸潤を先導するリーディングセルは、膵癌における癌間質相互作用において中心的な役割を担っている膵星細胞である可能性がある。これまでに我々の研究室では膵癌細胞の浸潤機構として、膵癌細胞のコラーゲン結合膜蛋白であるEndo180を介したコラーゲンの細胞内内在化が、上皮間葉転換によって増強されるとういう新しい浸潤機構を明らかにしてきた。また、表面抗原CD10を発現した膵星細胞は、癌の遊走・浸潤能を高めるということも報告した。これらの知見をもとにして、膵癌細胞の浸潤においてリーディングセルの役割を果たしている可能性のある膵星細胞、特に、表面抗原の発現の差異による細胞のphenotypingによって実際に癌細胞を誘導している膵星細胞を同定することを試みた。まず、CD90、CD146といったに着目し、癌細胞に与える影響を検討してきた。膵癌切除組織の免疫組織化学染色では、間質におけるCD90低発現かつSMA低発現の群が、その他のものと比べて予後が良好であることが分かった。また、SMA低発現の中でみても、CD90低発現の方がCD90高発現よりも予後がよいことが分かった。このことはCD90低発現群が癌の悪性度を高めていることを示唆するものであり、今後は癌の浸潤先端部に焦点をあてリーディングセルとしてのCD90陽性細胞の可能性について検討していく。また、膵癌関連線維芽細胞のCD146をノックダウンすると、癌細胞との共培養により膵癌細胞の遊走能・浸潤能が増強された。このことからCD146低発現間質細胞は、リーディングセルである可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コラーゲンを細胞内に内在化する基質クリアランス作用は、上皮間葉転換を引き起こした膵癌細胞で強く認められることを明らかにした。また、細胞外基質の配列の方向性が膵癌細胞の遊走・浸潤に関わっており、研究を進めている。しかし、膵癌細胞の上皮間葉転換を主導・先導する膵星細胞や、浸潤を先導する癌細胞の同定には未だ至っていない。

今後の研究の推進方策

膵癌細胞の上皮間葉転換を誘導する膵星細胞の分泌因子を網羅的遺伝子解析にて明らかにする。また、膵癌細胞と膵星細胞の浸潤における相互作用や、浸潤を先導する細胞の同定を三次元共培養モデルで明らかにする。同定された上皮間葉転換誘導因子を抑制もしくは強制発現させることで、浸潤に及ぼす影響を、特にコラーゲン細胞内内在化といった基質クリアランスに注目して解析する。最終的には、マウスでの膵癌細胞と膵星細胞の共移植実験により、癌間質相互作用と上皮間葉転換、及び基質クリアランス作用に及ぼす影響を検討する。

次年度の研究費の使用計画

膵癌細胞の上皮間葉転換を主導・先導する膵星細胞や、浸潤を先導する癌細胞の同定には未だ至っておらず計画に遅れを生じているため。
試薬類30万円、抗体10万円、リボ核酸干渉・遺伝子強制発現50万円、実験用マウス60万円、実験用ガラス器具25万円、人件費150万円、マウス作成費300万円
研究成果発表費 20万円、論文投稿料 30万円

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] CD166陰性膵癌細胞は強い浸潤能・遊走能を有する

    • 著者名/発表者名
      藤原謙次
    • 学会等名
      第113回日本外科学会定期学術集会
    • 発表場所
      福岡市
  • [学会発表] 膵癌間質におけるCD90とα-SMA発現の意義

    • 著者名/発表者名
      佐田政史
    • 学会等名
      第113回日本外科学会定期学術集会
    • 発表場所
      福岡市
  • [学会発表] The investigation of CD146 in pancreatic cancer associated fibroblast

    • 著者名/発表者名
      趙茗
    • 学会等名
      第113回日本外科学会定期学術集会
    • 発表場所
      福岡市

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公開日: 2015-05-28  

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