研究課題/領域番号 |
24390324
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
樋田 泰浩 北海道大学, 大学病院, 講師 (30399919)
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研究分担者 |
加賀 基知三 北海道大学, 大学病院, 講師 (80224335)
松居 喜郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90219379)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 血管新生 / 血管内皮細胞 / コンパニオン診断 / ビグリカン |
研究実績の概要 |
腫瘍血管内皮細胞におけるビグリカンの発現と,腫瘍細胞の転移促進機構を検討した.マウス由来の血管内皮細胞を使ったin vitro実験,マウスの肺転移モデル,ヒト臨床サンプルの解析を行った.A) in vitro実験:担癌マウスから腫瘍血管内皮細胞を分離培養した.正常血管内皮細胞には見られないビグリカンの高発現が腫瘍血管内皮細胞で認められた.特に転移能の高い腫瘍から分離された腫瘍血管内皮細胞でビグリカンの高発現が顕著であった.高発現するビグリカンsiRNAでビグリカンをノックダウンすると,腫瘍細胞の血管内皮細胞の接着や細胞シート下層への浸潤の増加が認められた.In vivo実験のためにしゅようと正常血管内皮に蛍光タンパク発現ベクターを導入した.B) in vivo実験:腫瘍血管内皮細胞を共移植すると転移能を持たない腫瘍細胞が転移能を獲得した.これは腫瘍血管内皮細胞におけるビグリカンの発現を抑制するとキャンセルされた.C)ヒト肺癌臨床検体.ヒト切除肺癌組織におけるビグリカンの発現解析のため臨床検体の収集を行った。これまでに腎癌で確立した免疫染色法を応用して肺組織を染色した.担癌患者,健常対照者の血清をディープフリーザーで保管し,次項の検討に用いた.D)血液検体からのビグリカンの簡易検査法.(ア)ELISAにより血清中のビグリカンの定量が可能になった.健常者対照群と比較すると,担癌患者では血清中ビグリカン濃度が高いことが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
担当大学院生の異動のため,肺癌検体とペア血清の集積,解析に遅れが生じた.2015年4月より,3名の大学院生が本研究に携わるようになり,本年度前半には目標の100例以上を解析できる見込みとなっている.本補助事業期間の延長によって繰り越した研究費を用いて,血清はELIZA法で,切除検体は免疫染色とRT-PCRでのビグリカンと血管新生関連因子の解析を行う.
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今後の研究の推進方策 |
血管内皮細胞に遺伝子導入を行い,in vivoにおけるビグリカンによる転移促進機序の解明を行うことが出来た.現在論文投稿中で,今後,リバイズのための実験が必要になる可能性がある.ヒト臨床検体,血清と切除組織におけるビグリカンタンパク量の相関,臨床データとの相関を検討し,ビグリカンのコンパニオン診断としての有用性の検討をさらに勧める.
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次年度使用額が生じた理由 |
担当大学院生の異動のため,肺癌検体とペア血清の集積,解析に遅れが生じた.来年度前半には目標の100例以上を解析できる見込みとなっている.本補助事業期間の延長によって繰り越した研究費を用いて,血清はELIZA法で,切除検体は免疫染色とRT-PCRでのビグリカンと血管新生関連因子の解析を行う.
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次年度使用額の使用計画 |
2015年4月より,3名の大学院生が本研究に携わるようになり,本年度前半には目標の100例以上を解析できる見込みとなっている.本補助事業期間の延長によって繰り越した研究費を用いて,血清はELIZA法で,切除検体は免疫染色とRT-PCRでのビグリカンと血管新生関連因子の解析を行う.
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