研究概要 |
本研究計画は実験動物としてラットを用いて全身麻酔下に冷却・復温する過程で、1)心機能変化、2)自律神経活動、3)心筋蛋白リン酸化(脱リン酸)の網羅的解析を行い、三者の関連を探る中で低体温(冷却)・復温が心筋蛋白リン酸化と心機能の関連にどのような影響を与えているかを探る研究である。 初年度(前年度)はラット全身麻酔下に表面冷却を行い低体温による心機能変化をコンダクタンスカテーテル法により解析し、30℃低体温で有意に心収縮能の増加を認めた。またラット人工心肺では十分なフローが出せず改良が必要となった。 平成25年度の研究実績を以下に示す。1) ラット心筋蛋白質のプロテオミクス解析(iTRAQ試薬を用いたマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析、NanoLC-MALDI-TOF/TOF-MS/MS)によりリン酸化ペプチドを解析したが、13個のpeptideにおいて信頼性の高いリン酸化部位を特定した。リン酸化部位を統計学的に高い確率で特定できた蛋白は、myosin-6, ATP synthase subunit beta, creatinine kinase S-type, mitochondrial, myosin light chain 3, Myosin-7, 2-oxoglutarate dehydrogenase, mitochondrial, aspartate aminotransferase, cytoplasmic, creatinine kinase B-typeであった。2) リン酸化蛋白の回収率が不良であると判断して、当初より予定していたiMACによるリン酸化ペプチド濃縮を行うも効果なく、抗脱リン酸剤を用いて試みるも十分な効果が得られなかったため、現在TiO2を用いた方法を試みている。3)自律神経活動解析は現在解析方法の細部を検討中である。
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