研究概要 |
1) もやもや病患者・末梢血における血管内皮前駆細胞(EPC)のFACS解析 新規に発生したもやもや病患者から採血を実施したのち、Ficollによる遠心分離にて末梢血中の単核球分画を分離した。その検体を用いてCD34, CD133, VEGFR2などのモノクローナル抗体を用いフローサイトメトリー(fluorescence activated cell sorting; FACS)を実施して、各患者における血中EPC数を定量した。対照群との比較や、血行再建術前後での変化を統計学的に検討して、もやもや病小児例・成人例における末梢血中のEPC量を明らかにすることを試みた。現在までに成人患者19例、小児患者14例、健康ボランティア10例の採血とFACS解析が終了した。 2)もやもや病患者由来iPS細胞の樹立 もやもや病患者3名分の末梢血単核球にセンダイウイルスを用いて山中4因子を導入し、iPS細胞を作成した。作成したiPS細胞の全クローンで多能性マーカーが発現していくことをPCR, 免疫染色で確認した。また、teratomaを作成し、三胚葉への分化能力を確認した。各患者のクローンから数クローンで染色体検査を行い、染色体異常のないことを確認した。樹立したiPS細胞を用いて、血管内皮への分化誘導を行った。浮遊培養を行うことでiPS細胞よりembryoid bodyを形成した。BMP4 50ng/ml, bFGF 50ng/mlを2日間培地中に加え中胚葉への分化を促進し、3日目よりVEGF50ng/ml, bFGF50ng/mlに換え、血管内皮への分化を誘導した。分化6日目でFACS AriaIIIにてCD31+VE-cadherin+の細胞を分離し、collagenI coated plateで培養を行った。培養後約2週間で免疫染色を行い、CD31, VE-cadherinの発現を確認した。今後得られた血管内皮を用いて、正常内皮ともやもや病由来内皮細胞を比較検討し、疾患の解析を進めていく方針である。
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