研究課題/領域番号 |
24390344
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
永廣 信治 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60145315)
|
研究分担者 |
里見 淳一郎 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10304510)
多田 恵曜 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30547964)
森垣 龍馬 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任助教 (70710565)
桑山 一行 徳島大学, 大学病院, 講師 (50614236)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 脳・神経 / 脳血管障害 / エストロゲン / 脳動脈瘤破裂 / くも膜下出血 |
研究概要 |
新たに破裂モデル動物を確立し、薬物を用いて破裂予防効果の評価を行い、治療のターゲットを明らかにする必要があると考え、本研究を行っている。卵巣摘出の雌性ラットにおいては塩分負荷によって、血圧に影響なく、動脈瘤形成頻度が上昇しており、このメカニズムとして体内に貯留されるwater-free Naの蓄積が関係することを明らかにし、論文をHypertensionに投稿、受理されている(Hypertension. 2012;60:1309-15)。この脳動脈瘤モデルに高血圧を誘導すると、動物においてもヒトの脳動脈瘤の好発部位である前交通動脈や後交通動脈領域の血管壁で脳動脈瘤の増大および破裂が見られることを確認している。これらの血管壁において、細胞外マトリックスの崩壊が進行しており、アポトーシスの誘導が促進されていることを新たに見出し、論文化、投稿中である。またこのモデルにメチオニンを負荷することにより、動脈瘤の破裂時期が早まることや、特にAcomAの血管壁が影響を受けやすくなることを見出し、論文化、投稿中である。さらに改良を加えて、動脈瘤の破裂頻度と再現性を上げるために、血流動態変化や薬剤による血管壁の刺激による検討を行っており、モデル動物が完成した時点で薬効評価を開始する予定で検討を進めている。一方、これまでの評価で脳動脈瘤形成抑制効果が最も強い降圧剤を用いて未破裂脳動脈瘤を有する患者への臨床応用の可能性を検討するため、高血圧症例の未破裂脳動脈瘤患者に対しての有効性を解析中である。米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)脳血管研究センターと実験的モデルマウスを用いた共同研究を行い、脳動脈瘤破裂予防に血圧の制御や血管壁のRAS活性化の抑制が有効であることを明らかにし、Stroke 誌に受理されている。これらの結果は我々の臨床試験の方向性と一致しており、薬物制御の可能性を示唆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の主な目的は、脳動脈瘤破裂モデルの確立である、脳血管壁への血液動態変化の誘導や脳血管壁への炎症や血管壁を脆弱化する薬剤を投与し、さらに脳動脈瘤破裂が高率に生じるかを検討中である。モデル確立後には病態の解明および薬物投与を行い、臨床応用が可能かを検証する。
|
今後の研究の推進方策 |
下記の計画を実施し、脳動脈瘤破裂の誘導および分子機構の解明を行う。 1) 卵巣摘出ラット脳動脈瘤モデルにおいて、更に血液動態変化を負荷することで破裂頻度を増加させることが可能か検討する。 2) これまでの知見から脳動脈瘤壁では血管壁へのマクロファージの浸潤を増加しており、さらにこの現象を増加させるため、LPSあるいはエラスチンの架橋結合阻害剤のbeta-aminopropionitrile (BAPN)を皮下投与(300mg/kg/day)する。 3) MRAや超音波での脳動脈瘤検出を試みたが、現時点では検出不可能であった。micro-positron emission tomographyのような他の手段を検討し、脳動脈瘤破裂を予測できるか検討する。 4) 脳動脈瘤破裂モデルが確立された場合は、脳動脈瘤形成抑制作用が認められたMineralocorticoid受容体拮抗薬であるeplerenone、phosphodiestrase阻害剤、ARB、エストロゲン受容体刺激薬Bazedoxifene acetateによる破裂抑制効果を検証する
|