平成24年度の研究計画として、胎児脳におけるLotusの発現解析を計画したが、免疫組織学的検討を十分に行える抗体の作成に時間を要しており、まずはLotus遺伝子欠損マウスでの形態異常の研究を先行させた。同遺伝子欠損マウスでは、海馬歯状回近傍の神経細胞の遊走に異常が出現する傾向があり、解析を進めたところ、非常に僅かではあるが神経細胞の密度や構築に異常があることが分かってきた。現在、大脳皮質も含めて統計学的な解析で有意差が出るか否かを、動物の数を増すことによって検証中である。 脳虚血後の発現解析に関しては、当初一過性全脳虚血後の海馬・線条体での発現解析を中心に行う予定であったが、上記同様にラットのLotusに対する免疫組織学的解析が行える抗体の作成に時間を要している状況で、急遽局所脳梗塞モデルに変更した。動物としてはWistar系とLong Evans系を比較したところ、後者の梗塞巣は最も均一で安定し、行動学的解析にも適していることが分かった。運動系の評価としてRotarod test、Grip testを行い、虚血ラットでは長期(12週)にわたって運動機能が有意に低下していることを確認した。現在はstair case testを施行中である。本モデルで虚血時間などの調整が終了しており、次に梗塞周辺からのsampleを採取して、まずはWestern blotによる蛋白発現量の変化を追跡中である。これをsham群と比較することで、虚血後の変化を検討する。さらに、次年度に向けてrecombinant rat Lotusをsubcloningして精製することも開始した。次年度は、Lotus蛋白を脳室内に投与して運動機能の変化を追跡する予定である。
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