研究課題/領域番号 |
24390347
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
山中 龍也 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (20323991)
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研究分担者 |
池中 一裕 生理学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (00144527)
川口 淳 京都大学, 医学研究科, 准教授 (60389319)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中枢神経系原発悪性リンパ腫 / 全エクソンキャプチャーシーケンス |
研究実績の概要 |
中枢神経系原発悪性リンパ腫(PCNSL)は中枢神経系に原発する節外性非ホジキン型リンパ腫で、多くはB細胞リンパ腫である。PCNSLはあらゆる年齢層に発生するが、50-60歳代に好発し、その頻度は最近増加している。本邦では現在、High dose Methotrexate(HD-MTX)3.5 g/m2化学療法3コース後、全脳放射線治療(30-40 Gy)が広く行われている。その5年生存率は約30%、生存期間中央値は33-39.5か月とされている。
本治療法の問題点として整理してみると、生存率の向上が見られたが、全身性非ホジキン病と比べ治療成績は不良である。治療効果を予測するバイオマーカーがないため、画一的な治療が行われている。 副作用として晩発性の神経毒性がある。多くは再発し治療抵抗性となり、新たな治療スケジュールの開発が待たれている。
中枢神経系原発悪性リンパ腫の凍結腫瘍組織50例のゲノム解析から、予後・治療反応性を予測するバイオマーカー、新規の分子標的薬開発のための標的分子の探索を行ってきた。 今後さらにバイオマーカーの実用化を目指し、脳リンパ腫の幹細胞、MTX耐性細胞株の樹立を行い、次世代シーケンサーを用いて全エクソンキャプチャーシーケンスも考慮した遺伝子発現情報、microRNA、SNPアレイ解析を用いた体系的な解析から標的分子を同定し、ケミカルバイオロジー・抗体・アプタマー・microRNA創薬の手法を用いた分子標的創薬を進める。中枢神経系原発悪性リンパ腫組織サンプルの収集の困難さから、このような多数症例のゲノム解析に基づく研究を行っている施設は国際的にも見られず、我々の研究の新規制・独自性が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中枢神経系原発悪性リンパ腫の凍結腫瘍組織50例のげのむエクソーム解析がほぼ終了し、今後、分子標的を明らかにし、分子標的創薬に向けた研究を進める準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
選択された標的分子に対する分子標的創薬を展開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
エクソーム解析の費用が予定より少なく済んだ。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の分子標的創薬研究に充てる。
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