運動器疾患である椎間板変性症(IVD)や変形性関節症(OA)の病態には多くの分子メカニズムが関与している。われわれはc-fos/AP-1が主要な因子の1つであることを明らかにし、その特異的阻害により髄核細胞、椎間板組織、軟骨細胞の基質分解酵素発現を抑制できることを示した。さらにIVDおよびOAモデル動物を作製し、これに対するc-fos/AP-1阻害効果を見た結果、椎間板と関節の変性破壊を顕著に阻止できることが明らかとなった。これらはIVDと OA病態に共通してc-fos/AP-1が関与することを示すとともに、本分子をターゲットとする治療戦略がIVDと OAの両者に有効となることを示している。
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