研究課題/領域番号 |
24390353
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
戸口田 淳也 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40273502)
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研究分担者 |
加藤 友久 京都大学, 再生医科学研究所, 講師 (50301247)
池谷 真 京都大学, iPS細胞研究所, 准教授 (20442923)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 軟骨形成腫瘍 / Maffucci症候群 / iPS細胞 |
研究概要 |
平成25年度は下記の成果を得た。 1. iPS細胞を用いた機能解析:前年度までのエクソーム解析により同定したMaffucci症候群の原因候補遺伝子の機能を解析するために、変異を有するMaffucci患者の体細胞より、iPS細胞を作製した。作製したiPS細胞を、我々が開発した軟骨細胞への分化誘導法を用いて、軟骨細胞へと分化誘導し、標準的iPS細胞を用いた結果と比較検討したところ、遺伝子発現及び基質形成能の点から軟骨分化能が亢進していることが判明した。この機能の相違が、原因遺伝子によるものであることを明確にするために、siRNA等を用いた発現阻害実験を行っている。更に他の遺伝情報の影響を除外するために、変異陽性iPS細胞における変異部位を正常配列に置換したrescued iPS細胞を、遺伝子改変技術を用いて作製中である。 2. 結合蛋白の同定:同定した遺伝子にタグを付けて強制発現させ免疫沈降を行い、結合蛋白をLC MS/MSを用い分離、アミノ酸配列を解析することで、複数の結合蛋白の候補を同定した。現在、同定した個々の蛋白に対する抗体を用いて、結合能の再確認を行っている。 3. IDH遺伝子との相互作用解析:Maffucci症候群の原因遺伝子の一つとして同定されたIDH遺伝子との相互作用を解析するために、変異IDH遺伝子を薬剤誘導型発現ベクターに組み込み、それを標準的iPS細胞に導入し、変異IDHが軟骨分化過程で発現できるiPS細胞を作製した。その細胞を用いて、変異IDHの発現により、我々が同定した候補遺伝子の発現及び機能がどのような影響を受けるかを解析している。 4. 遺伝子改変マウスの作製:マウスES細胞の病態関連候補遺伝子のマウスホモログ遺伝子に、ヒトで検出されものと同等の変異を、相同組み換えにより導入することを試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結合蛋白の同定に時間を要しているが、iPS細胞の作製から機能解析は順調に進んでおり、全体としてはおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
まずヒト細胞を用いた機能解析を重点的に進めていき、特にIDH遺伝子との相互作用から、ヒト軟骨形成性腫瘍における役割の解明を目指す。遺伝子改変マウスの作製に関しては、近年開発されたゲノム編集技術を応用して、ノックインマウスを作製する方向で検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
一部の必要消耗品の発注が年度末となり、年度内の納入・使用が困難と判断し、次年度に繰り越して使用することとした。 繰り越した研究費は、次年度の研究費と合わせて消耗品の購入にあてる予定である。
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