研究課題
寝たきりや無重力環境でみられる筋萎縮(廃用性筋萎縮)を克服するためには、筋細胞がどのように寝たきりや無重力環境を感知して、その応答がどのように筋萎縮につながるのかを解明しなければならないが、その多くは謎のままである。本研究により、廃用性筋萎縮はミトコンドリア病である(ミトコンドリア異常による酸化ストレスが原因である)ことを見いだした。そして、以下のように寝たきりや無重力などUnloadingストレスに対するミトコンドリアを介した感知の仕組みとそこから筋萎縮へとつながる経路を解明した。1.イニシエーションステップにおけるメカノセンシング:Unloadingストレスはまず最初に筋細胞に酸化ストレスが生じることがわかった。興味深いことに、この酸化ストレスがミトコンドリアのアコニターゼ活性が低下させ、ミトコンドリアの断裂を誘導した。2.筋肥大因子 IGF-1 による酸化ストレス増幅作用:寝たきりや無重力の環境では、IGF-1 は筋障害因子として機能していることを明らかにした。先述の とおり寝たきりや無重力環境では TCA サイクルの律速酵素であるアコニターゼの活性が低下して いる。そのような条件では IGF-1 は細胞内グルコース濃度を増大し強制的に TCA サイクルを回転 させるため、より多くの ROS が産生すると考えられた。3.寝たきりや無重力によるミトコンドリアの断片化と分解(Mitophagy):模擬無重力環境に曝露した筋細胞のミトコンドリアの断片化は、アコニターゼをノックダウンすることによっても再現できた。さらに、断片化したミトコンドリアは直ちにオートファジーにより排除された。4.次世代シークエンサーによるトランスクリプトーム解析:Unloading環境においても、筋細胞の転写は正常に行われていた。Unloadingによる筋萎縮は転写以上ではないことが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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