研究課題/領域番号 |
24390356
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20178031)
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研究分担者 |
新井 祐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50347449)
藤原 浩芳 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90381962)
寺内 竜 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20575154)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 軟骨代謝 / 変形性関節症 / ストレス応答 |
研究概要 |
平成25年度は軟骨細胞に対するストレスが肥大分化関連因子に与える影響を検討した。 日本白色家兎から単離した軟骨細胞に、0,5,10,または50MPaの静水圧ストレスを2時間負荷した。30分後にRNAを回収し、NF-κB、HIF-2α、MMP-13、およびMMP-3の遺伝子発現を解析した。NF-κBは静水圧依存性に遺伝子発現が増強したが、HIF-2α、MMP-13、MMP-3の遺伝子発現は5MPaを負荷した群で最大となり、50MPa群では5MPa群と比較して有意に低値であった。変形性関節症の関節軟骨でHIF2-αが出現すること、HIF-2αKOマウスではOA進行が抑制されることが明らかにされている。本研究では5-10MPaの静水圧ではHIF-2α/NF-κBに連動して蛋白分解酵素も反応したが、50MPaではNF-κBのみ上昇した。以上から、5-10MPaの静水圧ストレスによってHIF-2α/NF-κBシグナルと蛋白分解酵素はともに変動するが、非常に高い静水圧では違う経路が働く可能性があると考えた。次に軟骨細胞に対する炎症性ストレスの影響を検討した。同様に単層培養した軟骨細胞を3群に分けた。コントロール群は無処置、Il-1β群にはIL-1β刺激を、HS+IL-1β群にはGln含有培地で41℃の温熱刺激を30分加えてからIL-1β刺激を負荷した。それぞれ24時間後にRNAを回収し、NF-κB、HIF-2α、MMP-13、およびMMP-3の遺伝子発現を解析した。炎症性刺激を加えることでこれらの遺伝子発現は全て亢進した。一方、軟骨保護作用を持つ適切な温熱刺激やグルタミンによりMMP-13とMMP-3は有意に低下したが、NF-κBやHIF-2αは変化しなかった。これらの結果から、*炎症性刺激によるMMPの遺伝子発現の上昇はHIF-2αに依存しない経路が関与していると考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究によって、ストレス刺激に対する変形性関節症の治療標的の変動、およびストレス応答機構をin vitroのレベルで評価することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はin vovo実験を中心に行う。これまでのi vitro実験の結果から得られたストレス応答機構HSP70の効果的な誘導法をOA動物モデルに対して行う。具体的な方法としてオン悦茂樹や運動療法を用いる。並行してOA動物モデルにおける治療標的因子の解析を行い、HSP70誘導法を用いた治療法を行うことで最終的にOA治療効果および進行抑制効果を評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
最終年度はin vivoの実験を予定しており、当初の計画時より費用を要する可能性が高いと判断したことから、平成25年度の予算を一部繰り越しした。 最終年度はin vovoでの実験を予定しており、繰り越し分については実験動物購入費および維持費に充てる予定である。
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