研究課題/領域番号 |
24390356
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
久保 俊一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20178031)
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研究分担者 |
寺内 竜 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20575154)
新井 祐志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50347449)
藤原 浩芳 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90381962)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 変形性関節症 / メカニカルストレス |
研究実績の概要 |
動物実験を用いて、in vivoでのメカニカルストレスが関節軟骨に与える影響を検討した。12週齢雄性Wistar系ラット(n=8)を走行速度に応じて12 m/min群、20 m/min群に分けた。1日1時間、週5回の走行を行った。自由飼育したものを対照群(n=4)とした。6週間後に左膝関節軟骨からRNAを抽出し、軟骨代謝関連因子としてアグリカン、2型コラーゲン、MMP-13およびADAMTS5の遺伝子発現をreal time RT-PCRで解析した。右膝関節に対してSafranin O染色を行い、軟骨の組織学的変性度をmodified Mankin scoreで定量的に評価した。20 m/min群のアグリカンの遺伝子発現は12 m/min群より有意に低下し、反対に2型コラーゲンの発現は12 m/min群と比べて有意に低かった。20 m/min群のMMP-13の遺伝子発現は対照群と比較して有意に亢進していた。ADAMTS5は各群間で有意差を認めなかった。modified Mankin scoreは他の群より20 m/min群で有意に高値であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究によって、in vivoにおけるメカニカルストレスが関節軟骨に与える影響を一部明らかにした。しかし、予定していた検討項目に到達していない。
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今後の研究の推進方策 |
2型コラーゲンの分解ではMMP-13が中心的役割を担う。トレッドミル走行を用いた過度の運動負荷による2型コラーゲンの産生低下にMMP-13が関与していると考えた。6週間の走行後、関節軟骨は組織学的にOAの所見を呈しており、過度の走行によるコラーゲンやコラゲナーゼの遺伝子発現変化は正常軟骨とOA軟骨で類似している可能性を示している。アグリカンの分解については、ADAMTS5以外にMMP-13も関与していることが明らかにされている。過度の運動負荷によるアグリカンの分解にはアグリカナーゼではなく、コラゲナーゼが主に関わっていると考えた。しかし、サンプル数が少ないことや短時間でのストレスが関節軟骨に与える影響などを今後検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
静水圧ストレスによりHSP70とHIF-2αが同様の遺伝子発現変化を認めると予想していたが、実際には異なる動きであった.このためHSP70の抑制実験を行わなかった.そのため,未使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
このため,in vivoでのメカニカルストレスの実験を次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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