RelA欠損の胎児肝臓細胞を移植し、骨髄を再構築したマウスを作成した。その結果、①骨粗鬆症を発症すること、②血球系の中で、リンパ球系全般の分化増殖に著しい欠損があること、③単球系、特にマクロファージ系細胞が増殖していることを見出した。 骨粗鬆症を発症することから、RelA欠損骨髄再構築マウスの骨および骨髄内の、骨芽細胞および破骨細胞の数を調べたところ、正常骨髄移植マウスと差が無いことを見出した。さらに、RelA欠損破骨細胞をin vitroにて骨破壊能を解析したところ、正常破骨細胞と差が無いことも見出した。 これらのRelA欠損骨髄再構築マウスに対して、関節リウマチおあよび多発性神経炎を誘発する実験を敢行したが、発症が著しく低下していることを見出した。このことより、自己免疫性疾患を引き起こすリンパ球がRelA欠損によって、数並びに質(自己免疫疾患に関与するリンパ球分画)が著名に低下していることが示された。 RelA欠損骨髄再構築マウスを作成する際に、RelA欠損胎児肝細胞に正常骨髄【RelA欠損胎児肝細胞の1/10量)を共に移植したところ、①RelA欠損の血球系細胞(主にマクロファージ)が出現すること、②骨粗鬆症が改善されること、を見出した。更に我々は、正常骨髄内のマクロファージ分画をRelA欠損胎児肝細胞と共に移植して、骨粗鬆症が改善することを見出した。 更にRelA欠損骨髄再構築マウスの骨髄内では炎症反応が著名に増大していることから、RelA欠損マクロファージが移植の際に生じる炎症反応を改善できずに骨粗鬆症を引き起こすことを見出した。
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