本年度の研究計画は、前年までに作成した呼吸パターン分析アルゴリズムの正確性とその臨床的有用性と限界を科学的に評価することであった。研究計画に従って睡眠時無呼吸診断目的で入院した閉塞性睡眠時無呼吸患者5名とボランティア2名でデータ採取を行い、今後もさらにボランティア3名でのデータ採取を行う予定であるが、現在までのpreliminaryな解析では、鼻カヌラ圧波形は睡眠中の被験者では安定して呼吸変動を示していた。食道内圧変動から吸気流量制限が生じていると判断できる圧波形も確認でき、呼吸パターン分析アルゴリズム改善目的に使用できることも確認できた。一方手術終了数時間以内の患者での鼻カヌラ圧波形は、確実に呼吸数の変動をピックアップできることが確認できたが、口呼吸時に目視では十分な呼吸を認めるにも拘らず呼吸流量制限パターンを示し、口呼吸時の呼吸パターン判断アルゴリズム改善が必要と考えられた。呼吸モニターの正確性向上と実用化推進は今後も継続することとした。 最終研究年であるため、研究成果発表に重点を置いて積極的に成果の公表を行った。『顎下部陰圧負荷の咽頭開通性に与える影響』の臨床研究は、ニューオリンズ(米国)で開催されたSociety for Anesthesia and Sleep Medicineにおいては、一般演題から第2位の優秀演題に選ばれ、論文は、Journal of Applied Physiologyに掲載された。
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