研究課題
ラットの再現性のある開頭手術侵襲モデルとして、当初予定していた中大脳動脈焼灼術から、全身麻酔下、人工呼吸下での開頭、硬膜開放手術モデルを採用した。本方法ではラットの生存が得られ、術後継続した観察、採血が可能となる。術中は体温を37±0.5℃、平均血圧を80-100mmHgかつ動脈血液ガスでPaCO2を36-44mmHg以内に維持するよう麻酔管理を行った。イソフルラン+生食群(NS群;n=8)とイソフルラン+レミフェンタニル群(Remi群:レミフェンタニル60μg/kg/hr持続投与;n=7)で比較したところ、術中の使用イソフルラン濃度は、NS群3.1±0.2に対して有意に低かった(2.3±0.3, p<0.0001)。また開頭手術前後で末梢血白血球数は、NS群で5/8が上昇したのに対し、Remi群は6/7で減少した(p<0.05)。しかし一方で血清中のTNFαやIFNγはRemi群で高い傾向が認められた。その後の経過では有意な差を認めず、ラットの生命予後はいずれも良好であった。侵襲初期の白血球動員に際してはレミフェンタニルが抑制的に働いている可能性が示唆された。TNFαは、一般的に創傷治癒促進作用が知られており、本モデルのような生命危機の少ない、いわゆる手術的清潔外傷モデルでは、良好な予後に寄与している可能性もあり、解釈は難しい。高度侵襲に暴露されている時に、白血球機能が抑制される可能性が示唆される報告があり、手術侵襲時に起こることを想定される免役抑制反応を、レミフェンタニルが防止している可能性があり、白血球の活性化度や、刺激に対する反応性などを引き続き調査する必要があると考えられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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麻酔
巻: 65 ページ: 13-22
Anesthesia and analgesia
巻: 10 ページ: 132-136
10.1213/XAA.0000000000000132