研究課題/領域番号 |
24390365
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
川真田 樹人 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (90315523)
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研究分担者 |
杉山 由紀 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (10468100)
田中 聡 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (60293510)
石田 高志 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (60531952)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 術後痛 / 遷延性術後痛 / 動物モデル / 筋挫傷 / マイクログリア / 脊髄後角 |
研究実績の概要 |
急性期の術後痛は通常、創治癒により消失するが、創治癒後も痛みが持続する遷延性術後痛(Persistent Post-operative Pain: PPOP)という病態が存在する。欧米の統計から推定すると、本邦では胃がん患者(10万人/年)や大腸がん患者(8万人/年)に匹敵する8万5千人のPPOP患者が毎年発生していることになる。そこで本研究ではPPOPのメカニズムの解明を行うが、そのために、(1)筋肉挫傷によるPPOP動物モデルの確立、(2)PPOPモデルを用いて痛みが遷延するメカニズムの解析、を行う。 モデル作製は平成26年度に完成し、行動実験で自発痛および機械性痛覚過敏が長時間(それぞれ1週間および2週間)続くことが示された。しかし熱性痛覚過敏の延長は認めなかった。このモデルを用いて、脊髄後角へのcFos発現を見たところ、PPOPモデルで軽度cFosの発現が延長していたが、有意な延長ではなかった。そこで、IbaI染色により、脊髄後角におけるマイクログリアの活性化を検討したところ、PPOPモデルでマイクログリアが有意に強発現していた。さらに足底部の筋挫傷部の浸潤細胞をフローサイトメトリーにて検討したところ、PPOPモデルで有意に炎症細胞の増加を認めた。
以上より、筋挫傷により、炎症細胞が長期間挫傷部位に浸潤し、創傷治癒に長期間を要す。この間、強い筋障害に起因する筋侵害受容神経の自発活動と末梢性の感受性亢進(Peripheral sensitization)が起こり、脊髄レベルでもマイクログリアの増強が起こり、皮膚と筋肉からの末梢神経が同一脊髄後角ニューロンへの収束部の機能的応答を修飾し、結果として皮膚における機械的痛覚過敏を生じていることが示唆された。
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現在までの達成度 (段落) |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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