吸入麻酔薬の分子レベルでの作用機序を検討するため、マウス脳を用いた全mRNAの同時発現解析(トランスクリプトーム解析)行い、吸入麻酔薬のmRNAへの影響を解析した。また行動学的な解析を追加し、吸入麻酔薬と有害事象の関連について検討した。その結果吸入麻酔薬はRtn4rl2遺伝子を特に強く発現させ、また加齢によってLhx9遺伝子の発現が最も増大した。これらの知見は幼若脳への吸入麻酔薬曝露が神経炎症を引き起こし、アポトーシスを誘導するこれまでの知見と矛盾しないものであった。一方で吸入麻酔薬曝露はマウスでは行動学的には変化を起こさず、マウスとヒトでは異なる制御機構が存在するものと考えられた。
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