研究課題
REIC/Dkk-3は新規がん抑制遺伝子であることをわれわれは提唱し、アポトーシス誘導遺伝子治療(がん細胞への遺伝子導入)の実用化を目指した応用研究を推進してきた。その研究を展開する過程において、REIC/Dkk-3 タンパクそのものが特定の末梢血免疫細胞を樹状細胞様細胞に分化させ、抗腫瘍効果を発揮するというサイトカイン様作用を有することを新たに発見した(IntJ.Oncology 2009 Mar;34(3):657-63, 特許出願2008-086516)。本研究では、REIC/Dkk-3タンパク質(17kDa REIC/Dkk-3を含む)の有する新たな抗腫瘍効果発現の機序ならびにサイトカイン様生理活性物質としての機能の詳細を解明した。すなわち、癌治療分野における新規タンパク質療法として展開することを目標として、マウスを用いた基盤研究を実施し、17kDa REIC/Dkk-3を含むREIC/Dkk-3タンパク質の有用性を証明した。ヒト前立腺癌由来の癌細胞株と末梢血由来の単核球とを精製REIC/Dkk-3タンパク質存在下で共培養することにより、癌細胞増殖がどのように影響されるかを解析し、当該条件下におけるREIC/Dkk-3タンパク質の抗腫瘍活性を明らかにした。併せて、癌細胞や免疫担当細胞に精製REICタンパク質を添加することにより、各細胞内において増殖・分化に関するKey分子がどのような発現動態を示すのかを明らかにした。これらの研究結果により、17kDa REIC/Dkk-3を含むREIC/Dkk-3タンパク質は、免疫担当細胞そのものを活性化させると同時に、当該免疫細胞から抗腫瘍効果を有する液性因子を分泌させることも明らかとなった。REIC/Dkk-3タンパク質の有する抗腫瘍効果ならびにサイトカインとしての作用が、細胞傷害性の内因性サイトカインにより増強されている可能性が示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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