研究課題
【研究の目的】同じ個体の中で、いくつかの遺伝子は決まった組織にのみ発現し、その組織を特徴づけている。近年、精巣特異的プロモーター領域の存在が報告され、組織発生において、各組織特異的プロモーター領域の重要性が注目されている。一方、外性器形成においても同様の発現制御機構が存在すると考えられるが、いまだ解明されていない。これまで私たちは、性分化疾患を対象として、精巣発生にかかわるプロモーター領域の解析を進めてきた。本研究では、これまでの研究手法をさらに発展させ、外性器形成障害の代表的疾患である尿道下裂を対象にゲノムワイド解析を行う。これにより遺伝子およびプロモーター領域の両面から外性器形成メカニズムを包括的に解明することを本研究の目的とした。【本年度の研究成果】前年度までは、特異的な表現型を示す性分化疾患である46,XY精巣性DSD患者におけるゲノムDNA解析を行い、共通するコピー数増加領域をX染色体長腕に位置するSOX3遺伝子の上流566kbの領域に認めた。本年度は、より普遍的な外性器異常疾患である、停留精巣に異形成腎を合併した症例にしぼってゲノムワイド解析を行った。すなわち、精巣下降が先天的に阻害されている停留精巣と、同側の腎低形成・異形成を伴う3症例について、末梢血からゲノムDNAを抽出し、エクソンの変異だけを検出できるエクソーム解析を行った。ヒトゲノム参照配列との比較を行い、疾患に共通する8710個のSNPsを同定した。その中から精巣・腎発生にかかわるSMAD4、BMP8B遺伝子の一塩基多型を同定することができた。これらは尿管芽の発生に関わることが報告されているが、ゲノムワイド解析によって、これらの遺伝子が精巣下降や中腎管の発生にも関与する可能性が明らかとなった。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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