研究実績の概要 |
早発閉経や閉経前後の不妊患者では、卵胞が発育せず自らの卵子を用いた妊娠は非常に困難である。申請者は最近、PTEN阻害剤とPI3K活性化剤を用いた休眠原始卵胞の人為的活性化に成功した。本研究は、本法の臨床応用により、提供卵子による治療以外に確実な方法がないこれらの患者の卵巣の卵子形成能を再生させ、自らの卵子で妊娠する新たな治療法を確立することが目的である。 本年度は、初期卵胞発育を制御する因子の機能解析並びに相互作用の解明を完了した。初期卵胞発育因子の網羅的探索の結果、C-type naturiuretic peptide, R-spondin2, CCN2, CCN3, CCN5, CCN6を新たな発育因子として同定し、初期卵胞の発育を促進することを明らかにした。また、相互作用としてはC-type naturiuretic peptideと卵子由来成長因子(GDF-9, BMP-16, FGF-8)が相加相乗効果を示し、エストロゲンがC-type naturiuretic peptideの発現を正に制御していることを明らかにした。
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