研究課題
浜松医科大学には全国から羊水塞栓症の臨床情報、血清、組織が送付されている。これらを解析することにより羊水塞栓症の病因・病態を解明し救命法、予防法を見出すことが本研究の目的である。1、平成26年度までに90例に子宮組織、10例の肺組織が全国から送付された。それらの肺・子宮病理を肉眼的、組織学的に検討、以下のことが判明した。1)肺の肉眼所見:肺は浮腫状変化を示していることが多い。濡れ雑巾を絞ったように水分が貯留していることもある。2)肺の組織所見:「①羊水成分の検出」両側各葉から最低1個ずつの肺組織標本を採取する。肺血管内に羊水成分を見出すことが診断に重要であり、1つの染色法では羊水成分が検出されないこともあり複数の染色法で検討することが望ましいことが判明した。「②浮腫状変化」HE染色やアルシャンブルー染色で肺胞や間質の浮腫状変化を認める。「③アナフィラクトイド反応の検出」C5a受容体染色の陽性像が多数認められる。3)子宮の肉眼所見:子宮の所見としては子宮の血管浮腫すなわち子宮弛緩症である。血管浮腫の指標として子宮重量がある。子宮重量の情報が得られた34症例で平均子宮重量は1013.3gであった。羊水塞栓症では子宮が重いことが明らかになった。4)子宮の組織所見:子宮の組織所見は以下の3点がポイントであることが明らかになった。①子宮の静脈に羊水、胎児成分が検出されること。②子宮血管にDICの所見を認める。③間質浮腫 HE染色やアルシャンブルー染色で間質浮腫像アナフィラトキシン陽性細胞を子宮間質に多数認める。2,羊水塞栓症の新規治療法と予知予防法の検討C1インヒビターが羊水塞栓症で減少していることを見出した。C1インヒビターの測定は羊水塞栓症の病態把握に有用であること、そしてC1インヒビターを投与することにより羊水塞栓症の病態を改善させる可能性があることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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